教育や受験の現場で最近よく聞く「Steam教育」って何? 理数科目より芸術のほうが重要に? 注目ワードを専門家が解説
理数科系の科目よりも注目される「デザイン思考」
もともと、英語の「design」には、「(ものの見た目を整えるために)デザインする」という意味だけでなく、「設計」「計画」「立案」「開発」といった意味もあるのです。 アメリカでは今、MBA(経済学修士)よりもMFA(美術学修士)を持つ人材が求められるようになり、早朝から美術館で行われるギャラリートークには多くのビジネスマンが集まっています。これは、従来ビジネスで必要とされた論理的思考や批判的思考だけでなく、デザイン思考が重視されているためです。 このデザイン思考は、スタンフォード大学のハッソ・プラットナー・デザイン研究所(通称d.school)が提唱するもので、グーグルやアップルなど、世界をリードする企業がビジネスに採用しているアプローチです。 デザイン思考のプロセスはまさにイノベーションを起こすためのプロセスであり、今後、あらゆるビジネスに必要な考え方です。 STEAM教育では、「プロジェクトベース学習(PBL)」で、このデザイン思考のプロセスを用いて問題解決能力を養います。長男の通っていた小学校でもプロジェクトベースのアクティブラーニングが行われていました。
STEAM教育のメリット
韓国教員大学校のカン・ナムファ教授は、さまざまなSTEAM関連の文献調査や、小学校でSTEAM教育を受けた大学生や教師たちへのインタビューを通して、STEAM教育の成果を明らかにしようとしました。 調査の結果、STEAM教育には、創造性、主体性、達成感、自尊心、困難な課題に挑戦する意欲やコミュニケーション能力などが向上するというメリットがあることがわかりました。 また、小学生の頃にSTEAM教育を受けた大学生たちは、自発的な学習スキルとチームワークのスキルが大学に入ってからの研究に役立ったと述べました。 子どもの頃からSTEAM教育に親しむことは、その後の学びにもよい影響を与えるのです。 世界に羽ばたくために家庭で育てたい「5つの力」 世界で求められる力は家庭でこそ育つ 新しい学校教育に期待を寄せつつも、まかせきりにするのは賢い子育てとは言えません。幼児期は特に、親が子どもをよく見て、子どもと関わりながら、能力を伸ばしてあげるのが一番です。 そこで、語学力や非認知能力、STEAMなど、世界で求められる力を日本の家庭教育でも伸ばしていただけるように、つぎの「5つの力」にまとめ直してみました。 これらの「5つの力」は、最先端の教育法をもとに私が選んだ、「子どもが自分の才能を生かして世界で羽ばたくために欠かせない力」です。