大調査 確定申告で政治献金を取り戻す国会議員たち②取材に無回答の与野党21人の議員名を明らかにする…不可解な回答のケースも(全3回)
控除のための書類を作成したのに確定申告では使わなかった――。このような説明は、自由民主党の国会議員からも相次いだ。 まずは、衆院議員の笹川博義氏(群馬3区)。 笹川氏は2015、16、17、18年の寄付について、4年連続で控除の書類を選管から受理している。記載された寄付金合計は4400万円で、控除申請することによって計約1320万円が戻ってきたことになる。過去5年間、寄付は政党支部に集中しており、資金管理団体と後援会への寄付はなかった。このため、政党支部への献金のみが控除の対象になることを熟知していた可能性もある。 笹川氏からはメールで「(控除の)申請はしていない」と回答があった。ところが、「選管から書類を受け取りながら、税額控除を申請しなかった理由は?」という趣旨の質問に回答がない。そこで国会議員会館の事務所に電話し、笹川氏の男性秘書に取材した。やりとりは以下の通りだった。 ――申請していない、とだけ回答されていますが、なぜ申請しなかったのですか。 「なぜ、と言われてもとにかく申請していないんだから」 ――その回答では、なぜ、4年連続で選管から書類を受け取ったか分からないです。いずれの年も控除申請していないのなら、なぜ毎年、書類を作成していたのでしょうか。 「書類を作成って言ったって、向こう(選管)が勝手に送ってきたものだから」 ――いや、選管が勝手に送ってくることはあり得ません。そちら(政党支部・議員側)が作成しないと、選管は確認印を押せないんです。 「とにかく、こっちの回答は『申請していない』だから。申請しなかった理由は『回答なし』でいいから」 選管から控除のための書類を受け取ったものの、道義的にまずいと判断し、実際には申請しなかった、と説明する自由民主党の国会議員もいた。計5人。高野光二郎氏以外は、全員が衆院議員である。 中根一幸氏(埼玉6区・比例復活)は、2017年の寄付計110万円について控除の処理を受け取っている。還付金の額は約33万円だった計算だ。 中根氏からはファクスで「寄付控除の書類を埼玉県選管から受理しておりますが、税額控除の手続きは取っておらず還付金は受け取っておりません」という回答が届いた。議員会館の事務所に電話し、控除申請しなかった理由を尋ねたところ、男性秘書は「道義的にまずいことだと思って申請しなかったということです」と答えた。 奥野信亮氏(近畿ブロック・比例単独)は2015、16年の寄付計400万円について控除の書類を受け取っている。書類の受け取りは2年連続、還付金の額は約120万円となる。政治団体と後援会には寄付していない。 奥野氏からはファクスで「税控除のための書類を使用した税控除の申請はしておりません」という回答が届いた。ファクスにはその理由も記されていた。以下のような内容である。 「使用しなかった理由は、それより(2015、16年)以前に税控除を受けることが、不適切との世論があったからです」