大調査 確定申告で政治献金を取り戻す国会議員たち②取材に無回答の与野党21人の議員名を明らかにする…不可解な回答のケースも(全3回)
「書類は作ったが控除申請はしていない」…?
では、実際に回答してくれた議員たちには、どんな言い分があるのだろうか。内容ごとに見ていこう。思わず首をかしげたくなる回答もあったが、「無回答」よりも政治家としての姿勢は何倍も誠実だ。 まずは、「税額控除のための書類は作成したが、確定申告の際には使用しなかった」というパターンだ。先述した通り、この書類は議員側が作成し、選管に提出してその確認印をもらうことで確定申告の際に有効な書類となる。議員側が何もしていないのに、選管が進んで書類を届けてくることはあり得ない。 衆院議員の下条みつ氏(長野2区、立憲民主党)は2016、17、18、19年の4年分の寄付について控除の書類を受け取っていた。寄付金合計は1764万7233円。控除を申請した場合は、計約529万円が戻ってきたことになる。 下条氏からの回答ファクスには「還付金を受け取っておりません」とだけ書かれていた。税額控除の申請に必要な書類は手にしたが、確定申告の際、政治献金分の税額控除は申請していないという説明である。 フロントラインプレスからの質問書には「書類を受け取りながら申請しなかったとするなら、その理由について」教えてくださいとも記していた。この2つ目の質問には答えていなかったため、その部分の回答をお願いしようと議員会館の事務所に電話すると、「質問はファクスで」とのこと。そこでファクスに以下の趣旨を記し、送信した。 「いずれの寄付についても寄付金控除を受けていないのなら、なぜ4年も連続して『寄附金(税額)控除のための書類』を作成して、選管から確認印をもらうことを行ったのでしょうか。一般の方々はたいへん不思議に思うのではないでしょうか」 「いずれの寄付についても控除を受けていないと主張されるのなら、直近の2019年分の確定申告の書類をご提示願えませんか。その書類の寄付金控除の欄を見れば、控除申請したか否かが分かります」 これらの質問に対する回答は、下条氏側から寄せられていない。