福島第1原発の処理水放出から1年 : 計7回5.4万トン放出、タンクには131万トンが残る
2023年8月24日に始まった東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出開始から1年が経過した。
福島第1原発では、溶け落ちた燃料デブリを冷却するためにかけ続けている水や、原子炉建屋内に流れ込む地下水や雨水など放射性物質を含む汚染水が発生し続けている。汚染水は吸着装置を使ってセシウムとストロンチウムを重点的に取り除いた上で、多核種除去設備(通称ALPS)を通して、トリチウム以外の大部分の放射性物質を取り除いた状態でタンクに溜めている。これが「ALPS処理水」と呼ばれるものだ。
福島第1原発の敷地内は、処理水のタンクで埋め尽くされている。廃炉を進めるためには、処理水を放出して空になったタンクを撤去し、次のフェーズに必要な施設を建設するためのスペースを確保する必要がある。このため、東京電力は2023年8月23日から処理水の放出に乗り出した。
これまでに7回、計5万4734万立法メートルを放出した。沖合では東電に加え、水産庁、原子力規制委員会、環境省などがそれぞれ独自にトリチウム濃度のモニタリングを実施しているが、これまでのところ周辺海域で異常は見つかっていない。
福島第1原発の敷地内のタンクには8月15日時点で約131万トンが残り、廃炉作業と並行してすべての放出が完了するには30年程度を見込んでいる。