英フィンテックが欧州などで資金調達額の6割に 格安の手数料と社会課題の解決で躍進 藤好陽太郎
エンジンのサム・エヴァリントン最高経営責任者(CEO)は「ほとんどの銀行は非常に古い基幹システムから、クラウドに移行する必要がある。エンジンはこの移行を加速させており、大きなビジネスチャンスがある」と海外攻略に自信を見せる。日本の地銀でも28年からコスト削減のためクラウド化する議論があり、注目を集めそうだ。 ◇レボリュート 評価額で英銀2位に 従来の銀行に規模で対抗するのが、日本のソフトバンクグループも傘下のファンド経由で出資するレボリュート。4500万人もの顧客を獲得し、24年7月に英銀行免許を取得した。同年8月に一部の株式を投資家に売却し、評価額が450億ドル(約6兆円)となり、英銀2位に急浮上。市場は上場のタイミングを注視するが、時価総額は1000億ドルを超すとの声も出ている。 レボリュートは預金や決済、外国為替、株式や仮想通貨まで幅広く扱う次世代型金融アプリが特徴で、世界で70以上のライセンスを取得。ふくおかフィナンシャルグループとも提携している。23年の税引き前利益は5億4500万ポンドで過去最高を更新した。 日本ではビザとデビット機能付きカード(銀行機能はなし)を無料発行。難民救済などの寄付機能を付けたほか、年内に17歳以下を対象に予算管理など金融リテラシーを高める機能を設ける。 トム・ハンブレット最高法務責任者は「銀行にアクセスできない人にもアプリならサービスを提供できる。デジタルファーストの銀行であることが『未来』だ」と語り、英銀トップを目指す姿勢を隠さない。 ◇ワイズ 格安国際送金で急拡大 国際送金大手ワイズは、50以上の通貨に有利な為替レートで送金できるうえ、取引全体の6割が瞬時に届く。 24年10月16日時点で送金コストを送金額の0.59%に抑え、顧客全体で年約18億ポンド(約3400億円)のコスト削減を実現。利益も過去最高を更新している。 世界の金融機関の平均送金コスト(24年)は6.35%と高いうえ、数日かかり、主要20カ国・地域(G20)は30年までに世界平均を3%に下げる目標を掲げる。