欧州クラブキャンプで構想外、癒えない怪我…「一番の選択は何か」 元日本代表“苦渋の決断”【インタビュー】
日本復帰の決定打となったキャンプ参加時の出来事
現在も三竿は、この負傷の治療を続けながらプレーをしている。「その時の治し方が悪かったみたいで。ヨーロッパにいる日本人の専門家の方にも診てもらっていたのですが、それも毎日は診てもらえるわけではないので。今夏、オフシーズンに帰国した時には『もしかしたら、こっちが痛いんじゃない?』と、全然違うところを指摘されて。かばってプレーしてきたことで、どこが痛いかも正確に分からなくなっているのですが、そこの治療を進めてアプローチを変えたら良くなってきているので、やっぱり海外で怪我をすると難しいなというのは、すごく感じました」。 欧州に移籍した選手は、結果がより求められる。そのためには当然、試合に出続けることが必要だ。しかし、怪我をした際にはどう向き合っていくかも慎重にならなければならない。クラブの医療体制による部分もあって、選手自身ができることは限られるかもしれないが、痛みや負傷状況を感じられるのも選手自身だけなのだ。 欧州に渡って、半年でステップアップ移籍し、順風満帆なスタートを切った三竿だったが、1人のアスリートとしてコンディションを戻すことを優先し、帰国する決断をした。 「怪我が日本に戻ってくることを決めた要因の1つであることは間違いないですね。やっぱり試合に出ないと、選手としての価値は下がってしまうので。ルーベンでもう1年、怪我を抱えたままやるのか、日本でしっかり治しながら試合に出続けるかを考えた時、日本に戻ってきたほうが、自分のサッカー人生にとって良いのかなと考えました」 日本に復帰すれば、欧州でのステップアップだけでなく、日本代表への復帰も少し遠ざかる可能性もある。2018年のロシアW杯には、直前まで日本代表にいた三竿だが、FW浅野拓磨、MF井手口陽介とともに最後の最後で最終登録メンバー23人には入れなかった。町田を筆頭に同じく欧州で活躍する身近な選手たちが日本代表での立場を確立していくなか、欧州で戦える姿を示すことで、日本代表への復帰も考えていたはずが、年齢的にも欧州に再びチャレンジできる保証があるわけでもなかった。 参加したルーベンの2024-25シーズンに向けたキャンプで、チームの戦力構想から漏れているのを薄々感じ取った。これが日本復帰の決定打になった。 「ルーベンで試合に出られなさそうだったら、日本に帰ることも選択肢の1つとしてあり得るとエージェントにも伝えていました。そうしたら鹿島が『オファーを出す』と言ってくださったので。それまでは1週間以上、ずっと何が自分にとって一番良い選択なのかを考えていました。1人のままであれば、キャンプで構想外であっても『俺は絶対諦めない』となったと思うんです。でも、自分の年齢、家族のことも含め、総合的に考えたうえで、日本でやろうかなと決めました」