暗号資産のボラティリティは特性、バグではない
日本時間8月5日、日経平均株価は12%以上下落し、1987年以来最悪の事態となった。日本銀行の金利引き上げについての不安を煽るようなコメントが引き金となった。 日銀のコメントは、米国の景気後退の可能性を懸念した結果という見方もあるが、FRB(連邦準備制度理事会)の金利引き下げに関する憶測が原因との見方もある。いずれにせよ、こうした不確実性により、TS Lombardのエコノミストが1兆1000億ドルと推定する「円キャリー・トレード」は崩壊し、ポジション解消が世界的な資本市場のパニックを引き起こした。 投資家は最も迅速な流動性を求めたため、暗号資産(仮想通貨)市場がその影響を最も大きく受けた。ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)はそれぞれ15%、22%という劇的な下落を記録し、その大半は米東部時間4日の夜に発生した。 一般的に信じられていることとは逆に、暗号資産市場のボラティリティはバグではなく、特徴だ。サーキットブレーカーが導入されていないため、常時稼働で世界的にアクセス可能な暗号資産市場は、投資家にとって流動性の第一の供給源となることが多い。 実際、パニック時には、暗号資産は投資家が売却できる唯一の資産となる可能性がある。これは、4日の西半球での出来事からも明らか。5日朝、米国の株式市場が開く頃には、暗号資産市場は落ち着きを取り戻し、ビットコインとイーサリアムは前夜の最安値からそれぞれ約10%回復していた。
暗号資産の流動性と可用性
暗号資産市場は、最も混乱した時期でも、常に流動性と可用性を提供している。5日には、シュワブ、フィデリティ、ロビンフッド、バンガードなど、複数のオンライン証券はアクセス不能、あるいはメンテナンス中となり、何万人もの投資家はポートフォリオにアクセスしたり、取引を行うことができなかった。 シュワブは、障害の原因を「取引量の増加と、システムに影響を与える主要ベンダーの技術的問題の複合要因」としているが、これは従来の金融のソフトウェアやバックエンドシステムが不透明であることを示している。一方、ビットコインは誕生からこれまで、99.98918%の稼働率を維持しており、イーサリアムは一度もオフラインになったことがない。これは、従来の金融システムが機能不全に陥った場合でも、暗号資産の信頼性は損なわれないことを示している。 他の資産クラスがブロックチェーン上に移行するにつれ、暗号資産の常時アクセス可能な性質からメリットを受けることになるだろう。初期の採用者は、オンチェーン市場とオフチェーン市場間のアービトラージの機会を活用する可能性が高い。 やがて、このアクセス性は、従来の市場に幻滅した新世代の投資家にとってスタンダードとなる。最近のバンク・オブ・アメリカのレポートは、この変化を強調し、「高齢の投資家は伝統的な株式を多く保有している一方で、若い世代は暗号資産やオルタナティブ資産を多く保有している」と指摘している。