自民総裁選ー仲間主義「安倍・菅政権」の強さと「個室の大衆」ホンネの民意
ネット社会の「個室の大衆」が形成する「ホンネ」の世論
前に、小池都知事の「排除」発言が人気の急落を招いたことに関して、テレビ時代の大衆は「茶の間の大衆」であるが、ネット時代の大衆は「個室の大衆」であり、その違いが政治世論に影響していることを述べた。ここでこの「個室の大衆」と安倍・菅政権との関係を考えたい。 政治世論の形成にメディアが大きな役割を果たすことは知られている。マーシャル・マクルーハンは、J・F・ケネディを「テレビ時代の大統領」と論じた。 新聞や雑誌など活字時代の世論形成に比べれば、テレビもネットも大衆が主役となって世論を形成する時代を招いたのであるが、実はテレビとネットには違いがあると僕は感じている。 テレビが置かれた「茶の間」は、私的なようでも、社会的立場の異なる老若男女が混在し、思いのほか公的な空間なのだ。放送という公共性において、アナウンサーもキャスターもコメンテーターもある種の「タテマエ」に支配され、視聴者もそのタテマエに引きずられて世論を形成する。 一方「個室」でモニターを見つめキーボードを叩く行為は、視覚的にも聴覚的にもプライバシーが確保されている。そこには公的にはとても表現できないような露骨な内容の情報も含まれており、ツイッターなどで発信される意見にも過激なものが多い。ネットの内部では個々人の「ホンネ」の世論が形成されるのだ。 そのホンネの世論が、自国第一主義という現在の世界の政治潮流につながり、この政権の「情緒的嗜好的信条」による仲間主義につながっていると考えられる。 つまり安倍・菅政権の強さは、ネット社会の「個室の大衆」による世論形成に乗っていることでもある。 こう考えてくると、三選後の焦点は、菅官房長官、二階幹事長の処遇であろう。 そしてどのように憲法改正への筋道をつけるかということであろう。 うまくいけばそうとうのことを成し遂げた内閣ということになるかもしれないが、本当の評価は、歴史の審判を待たなければならない。 それにしても今年の夏は暑かった。次回は異常気象と憲法改正の関係を考えて見たい。