「海の日」でトークイベント 奄美大島奄美市
「海の日」の15日、アウトドア用品などを製造、販売するパタゴニア日本支社主催のトークイベント「海とわたしたち」が鹿児島県奄美市名瀬の奄美山羊島ホテルで開かれた。島内外から来場した約100人が聴講。同社のサーフィンアンバサダーや奄美の海洋生物研究者、伝統舟大工職人など海と共に生きる5人が、海の魅力や次世代へ受け継ぎたい思いなどを語った。 「海の日」を人や自然、文化と海のつながりを思う日にしようと企画し、開催は昨年に続いて2回目。 冒頭ではサーフィンアンバサダーの田中宗豊さんが、サーフィンを通じ得た経験や自然と共に生きる暮らしを語った。奄美海洋生物研究会の興克樹会長は「ソング」と呼ばれるザトウクジラの鳴き声が集落ごとに異なる奄美のシマ唄のように生息する地域によって変化することなど、海の動物たちの生態を、映像を交えて説明し、多様性や力強さを伝えた。 昨年7月、十島村宝島から鹿児島市まで仲間と共にカヌーでの縦断を達成した白畑瞬さんは、奄美唯一のアイノコ舟大工の坪山良一さんと共に登壇。2人の出会いや良一さんの父で唄者、船大工の坪山豊さん(故人)の歌や思いを乗せ名付けた競技艇「アヤハブラ号」の思い出を語った。白畑さんは「今は新しい挑戦に向けた思いが湧いてきている。子どもたちへ大切な場所を残していきたい」と話し、坪山さんも「船大工の技術は自分の代で終わりかもしれない。だがもし本気で習いたいと思う人がいれば、元気なうちに教えたい」と語った。 共催した一般社団法人NEDI(奄美市笠利町)の碇山勇生代表理事は「今の環境を守ることが(文化や人のつながりを)子どもたちへつなぐきっかけになると思う。海に関わることを、海の日で共有できたことがうれしい」と結んだ。