【MLB】菊池雄星のアストロズ ポストシーズンでの要注意チーム
【MLB最新事情】 今季のMLBはシーズンを通してドジャース、フィリーズ、ヤンキース、オリオールズが上位にいたが、終盤戦に来て、どこも決め手に欠ける形となり、ポストシーズンを確実に勝ち進めるかどうかは分からない。 【選手データ】菊池雄星 プロフィール・通算成績 そんな中、要注意チームが過去7年連続ア・リーグ優勝決定シリーズに進出し、二度世界一になっているアストロズだ。6月19日時点、アストロズは33勝40敗で、ア・リーグ西地区で首位・マリナーズに10ゲーム差をつけられていた。ジャスティン・バーランダー、クリスチャン・ハビアー、ルイス・ガルシアといった先発投手がケガをしていたからだ。しかしそこから盛り返し、現在は地区首位で、逆にマリナーズに4.5ゲーム差をつけている。 FOXスポーツのTV解説者ジョン・スモルツは「先発ローテーションがすごくいいし、ケガをした選手も次々に戻ってくる。10月は手強いチームになるかもしれない」と予測している。見事だったのは先発投手陣の立て直しだ。左腕フランバー・バルデスは得意のシンカーが以前ほど沈まなくなったことで打たれていたが、球速を約1マイル落とし、再びゴロを打たせられるようになった。加えてカーブを多投し、ゴロを増やすとともに空振りも奪えている。カーブの三振率は41.8%で被打率.114である。 右腕ハンター・ブラウンも5月からシンカーをレパートリーに加え、直球は高めを狙うことでピッチングが安定した。ハードヒット率30.5%は、昨年の44.4%から大きく改善され、過去20試合中17試合で6イニング以上を投げ、クオリティースタートは16試合である。 トレードデッドラインでブルージェイズから移籍した菊池雄星はおそらく先発三番手。移籍前の防御率は4.75だったが、アストロズで7試合、41イニングを投げ、防御率3.07、53奪三振10与四球である。 成績が上がったのはバルデス、ブラウン同様、配球のアジャストが功を奏したから。トレード前、直球以外にスライダーとカーブを投げていたが、スライダーを増やし、特に対右打者で内角低めを狙うのではなく、外角低めを攻めるようにした。直球では外角高めに投げることで空振りが増えた。ブルージェイズでは対右打者の成績が被打率.280、長打率.441だったのに、新チームでは被打率.196、長打率.357である。アストロズは以前からそうだが、こういった指導が非常に的を射ている。 打線は主砲のヨーダン・アルバレスが健在で、今季も打率.311、32本塁打、80打点と安定している。ポストシーズン58試合で12本塁打、通算OPS.949だ。ベテランのホセ・アルトューベも今季打率.302、19本塁打、62打点、ポストシーズン103試合で27本塁打である。加えて右すねにファウルボールを当て長期離脱していた強打者カイル・タッカーも9月6日に復帰してきた。 ブルペンも7勝29セーブの守護神ジョシュ・ヘイダーを軸に防御率3.44(全体4位)とまとまっている。新任のジョー・エスパーダ監督はスロースタートだったチームを見事に立て直した。メジャー6年目の菊池がどこまで行けるか楽しみである。(成績は現地時間9月12日現在) 文=奥田秀樹 写真=Getty Images
週刊ベースボール