20周年を迎えた『オシャレ魔女 ラブ and ベリー(ラブベリ)』が教えてくれた、TPOでオシャレを楽しむということ
平成の人気キッズカードゲーム『オシャレ魔女 ラブ and ベリー(以下、ラブベリ)』が今年で20周年を迎えた。 記念すべき節目の年を祝して、コラボカフェや展示会などさまざまな企画が展開され、大きな盛り上がりを見せている。ラブベリがいまなお私たちの心をときめかせ続けている理由とは何だろうか。 今回は、ラブベリの開発・ディレクションを担当した株式会社セガの近野俊昭さんと、現在20周年の展開を担当されているライセンス推進部の桂里穂子さんにお話を伺った。
母娘で盛り上がれる「着せ替え」は誰もが通る道
女児向けキッズカードゲームの代表格であるラブベリは、同ジャンルの先駆者として知られている。世代を超えて多くの人々に親しまれてきた本作だが、どのような経緯で誕生したのだろうか。 「当時、私たちの部署で男の子向けの『ムシキング』を開発していたのですが、『女の子向けのゲームも作ろう』という提案からプロジェクトがスタートしました。 『ムシキング』では、『虫』という共通の話題で父親と息子が盛り上がれます。では、母親と娘が一緒に楽しめる共通の話題は何か――。そう考えたときに行き着いたのが『着せ替え』でした。 着せ替え遊びは、今の親世代が子どもだった当時も愛されていた定番の遊びです。この普遍的な遊びをテーマに、女の子向けのゲームを制作したことが、すべての始まりでした」(近野さん)
ラブベリは、1回のプレイごとに「オシャレまほうカード」が出てくる仕組みとなっている。このキラキラにコーティングされたカードには、靴やドレス、ヘアスタイルなど、さまざまなアイテムが描かれている。
プレイヤーは、メインキャラクターのラブとベリーのどちらかを選び、この「オシャレまほうカード」を使って彼女たちのコーディネートを作り上げていく。 ただし、単にオシャレな組み合わせを考えるだけではない。ディスコやストリート、舞踏会など、各ステージでのダンスにふさわしい、「TPO」を意識したコーディネートが求められる。 ゲームの評価基準となる「オシャレパワー」は、トータルコーディネートの完成度に加え、指定されたラッキーカラーの活用度合いによって決定される。制限時間内にラッキーカラーを含めたコーディネートを考えることは、一見簡単そうだが意外と難しい。 この仕組みには「新しいおしゃれに挑戦し、さまざまな自分を表現してほしい」という開発チームの思いが込められていた。 現在では貴重なコレクションアイテムとなっている「オシャレまほうカード」だが、興味深いことに、開発当初はカード収集のブームを特に意識していなかったという。