五輪に小池都政… 総選挙の“前哨戦” 東京都議選のポイントは?
東京都議会議員選挙(7月4日投開票)が25日に告示されます。今回の都議選は、年内に確実に行われる衆議院選挙の行方を占うものとして注目を集めていますが、新型コロナウイルスの感染収束が見えない中で東京五輪・パラリンピックの開幕を7月に控え、どのような論戦が繰り広げられるのでしょうか。今回の都議選のポイントを政治学者で東京大学大学院教授の内山融氏に解説してもらいました。 【図表】解散はいつ? 想定される今後の政治日程
●総選挙の情勢を測る指標に?
「首都決戦」である都議選は、現内閣への都民の評価も問われるため、国政にも無視できない影響を持つ。基本的に衆議院議員の任期満了を迎える今年10月までには総選挙が行われるはずだが(もっとも場合によっては11月の選挙もありうる)、今のところ、パラリンピック閉会後の9月解散の線が濃厚である。総選挙の前哨戦と位置づけられ、その情勢を測る指標にもなることから、今回の都議選には各党とも特に力を入れている。 歴史を振り返ってみると、1993(平成5)年6月に行われた都議選では、その前年に結党されたばかりの日本新党が躍進した。直後の7月に行われた衆院選でも日本新党が躍進し、同党の細川護熙(もりひろ)氏を首班とする非自民連立政権が成立した。2009(平成21)年7月の都議選でも民主党が勝利して都議会第1党となった。その年の8月の総選挙でも民主党が大勝し、自民党から政権を奪い取ったことを覚えている読者も多いだろう。 今回の都議選も、その結果が衆院選の勝敗と連動する可能性は大いにあり得る。
●小池知事の各党へのスタンスは?
今回の都議選の帰趨に影響するもっとも大きな要因は、小池知事の各党へのスタンスである。
小池知事は、2016(平成28)年に行われた1期目の都知事選では、「東京大改革」を掲げて都議会自民党を「ブラックボックス」と呼ぶなど敵対意識を公にしていた。2017年の都議選では自ら都民ファーストを率いて55議席(現在は46議席)を得て、自民党を打ち破った。このとき、都議会公明党は自民党との連携を解消して都民ファーストと提携している。 しかしその後、小池知事と自民党の関係は改善していく。再選がかかった昨夏の知事選では、自民党は小池知事の再選を支持した。小池知事も自民党への歩み寄りを見せている。 現時点において、今度の都議選で小池知事がどの党を応援するかは明らかになっていない。現在小池知事は都民ファーストの特別顧問の立場であるが、同党を公に応援するかについては明言を避けている。