<データから見る都議選> 過去3回を分析してみると? 【図解】
7月4日投開票の都議選まで1か月(告示は6月25日)。国民の1割以上が暮らす東京都の動向は国政の動向に大きく影響する。秋までには実施される衆院選が近付く中、各党はその前哨戦と位置付けている。都知事選と比べ注目される機会が少ないが、今回はいくつかの指標から都議選や都議会を分析し、都議選を「面白く」見るうえでの視点を共有したい。(行政学者・佐々木信夫中央大名誉教授)
総議席数は? 現在の勢力図は?
今回都議選の有権者数は1149万人(21年3月)。日本最大級の地方選で1人区から8人区まで全42選挙区で127議席を争う。内訳は区部が23選挙区で87議席、多摩地区は18選挙区で39議席、島部は1選挙区で1議席。立候補予定数は前回(2017年)の259人を下回り、少数激戦となる見通しだ。
4年前の都議選は、小池都政の誕生から1年後とあって「小池ブーム」の余波で地域政党「都民ファーストの会」(以下、都民ファ)が55議席と第1党に躍進。逆に、都議会自民は23議席と歴史的大惨敗を喫した。 現在、都議会で46議席を有する都民ファは、党をつくった小池都知事を与党として支えてきた。この間、党運営などの混乱で離脱者が相次いだものの、今回の都議選でも第1党の維持を目指す。一方の自民は今回都議会公明と政策協定を結び、自公での過半数(64議席)獲得を最低勝利ラインに掲げる。 公明は現有議席と同数の23人を公認。今回も過去7回続けてきた「全員当選」を目指す。前回の都議選では都民ファと共闘し、自民大敗の一因をつくったが、今回は国政と連動して自民との選挙協力を結んだ。公明票の行方が当落に大きく影響する選挙区は多く、都民ファとの対立が深まっている。4年毎に新しい風が吹いて選挙情勢を大きく変えてきた都議選だが、今回の構図は「都民ファvs自民」の戦いとも言えそうだ。 都議選は国政の先行指標と言われ、その結果が次の国政選、国政のあり方に直結する場合が多い。例えば1989年の社会党大躍進の「マドンナブーム」、93 年の「日本新党ブーム」、2001年の「小泉ブーム」はその直前の都議選から始まった。05 年の都議選後の小泉郵政解散は日本政治に大きな変化をもたらし、09年の都議選で都議会民主が大躍進し、その1か月後の衆院選で自民党から民主党への政権交代が行われている。