災害時に不足しやすい栄養素を補うストック食材は?【管理栄養士が解説】
災害用の非常食の準備はできていますか?災害時には不足しやすい栄養素があります。いざという時でも心と身体の健康を守るために、管理栄養士がおすすめする災害時に備えておきたい食品を紹介します。 〈写真で見る〉災害時に不足しやすい栄養素を補うストック食材は? ■災害時に不足しやすい栄養素は? 災害時は野菜、肉、魚、乳製品などの生鮮食品が届かないためたんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しがちになります。また支給される食べ物はおにぎり、パン、カップ麺などが多く、炭水化物に偏る傾向があります。健康、体力の維持にはエネルギーの摂取量を確保し、できる範囲で栄養バランスの整った食事をすることが大切です。 ■水分も不足しやすい 人間が1日に摂取している水分の内約半分は飲用水、残りは食事からとっていると言われています。災害時は不安で食欲がなくなる、物資が充分でないなどの理由で食事量が減少する可能性があります。また飲料水の配給の限度、トイレの数の限度、集団生活でトイレに行くことのストレスなどから水分摂取を我慢する傾向もあります。食事量と飲用水の両方が減ることで水分不足に繋がりやすくなります。水分が不足すると脱水だけでなく、心筋梗塞、エコノミークラス症候群、低体温、便秘などの原因となります。 ■ローリングストックをしよう ローリングストックとは日常で使う食品を少し多めに買い置きし、常に一定量の食品を備蓄していくことです。賞味期限の古い物から使い、使った分を買い足していきます。ここからは日常でも使いやすく、栄養素の補給にも繋がるローリングストック食材を紹介します。 ■■たんぱく質を補給できる食材 〈魚肉ソーセージ、さば、ツナなど魚の缶詰め、コーンビーフ、焼き鳥など肉のおかずの缶詰、うずらの卵、レトルト、パウチ食品〉 たんぱく質はエネルギーを生み出す栄養素の一つです。筋肉、臓器、皮膚、髪の毛など体を構成し、ホルモンや酵素などの体の調節機能を構成する成分にもなります。たんぱく質が不足すると体力や免疫機能が低下します。レトルト、パウチ食品は肉、魚、卵などのたんぱく源が入ったものを選ぶと良いでしょう。パスタソースやごはんにかけるカレー、丼など種類は様々なのでお好みのものを見つけてみてください。 ■■ビタミン、ミネラル、食物繊維を補給できる食材 〈たまねぎ、じゃがいもなど日持ちする野菜、乾物(梅干し、のり、乾燥わかめ、切り干し大根など)野菜の缶詰め、果物の缶詰、野菜ジュース、果汁ジュース、ドライフルーツ〉 ビタミン、ミネラルは体の機能を正常に保つために必要な栄養素です。これらは体内で作ることができないため食事から摂取する必要があります。食物繊維は過剰な栄養素の排出、整腸作用などがあります。災害時はこれらの栄養素の不足から便秘や口内炎に悩む方も多くなるようです。野菜の缶詰はとうもろこしや豆など調理されていて開けたらすぐ食べられるものを常備しておくと便利です。 ■あるとほっとする甘いもの 災害時は心の安らぎを求めて甘い物への需要も高まるようです。甘いものはエネルギー効率が良く、食欲がない時にも食べやすいので常備しておくと便利です。食べなれていて日持ちするお菓子や、栄養素を強化したクッキーやゼリーあたりが常備してあると便利です。ドライフルーツや干し芋など自然食品でできた甘いものはビタミンやミネラルの補給にも繋がります。 ■まとめ 栄養素の不足は体の調子だけでなく心にも影響してきます。災害時は限られたライフラインで日常の生活を送ることが困難になりますが、不安な状況が続くときこそ栄養素の補給は大切です。災害時のストレスを少しでも軽減するため、備蓄はしっかり管理しておきましょう。 〈参考文献〉 避難生活で生じる健康問題を予防するための栄養・食生活について 災害時に備えた食品ストックガイド ライター/田中ひろか(管理栄養士)
田中ひろか