甲子園禁止“ヤジ”にも集中力切らさず決勝打…ヤクルト“20歳の最強4番”村上宗隆が打点トップを突っ走るワケ
先制点を刻んだのも村上だった。一回一死一、二塁の場面で、阪神の先発左腕、ガルシアの投じた初球のツーシームを捉えてライト前へ猛烈なライナーを放った。 この日、2安打3打点。打点は「24」に伸びてセのトップ。2打点を稼ぎ「21」に伸ばした中日のビシエドと高いレベルでの“打点王”争いを演じている。得点圏打率は.462。今や最強の4番打者だ。 その“打点王”の理由について聞かれると村上は、「僕の前のバッターの先輩方が出塁してくれるので常にチャンスで回ってくる。ほんとに前の先輩方に感謝したいなと思う」と、お膳立てをしてくれている好調打線に敬意を示した。この試合では、2番を任されていた山田哲人が、疲労が原因でスタメンを外れたが、2番に抜擢された荒木貴裕が、2度の得点機でしっかりと役割を果たしている。 絶好調の村上は、打率部門でも.367で巨人の岡本和真と同率2位。打率.409でトップの広島・堂林翔太を追う位置につけている。 昨年はチームでただ一人、全143試合に出場し、打率.231、36本塁打、96打点の堂々たる数字を残した。阪神の近本光司を突き放して新人王に選ばれている。36本塁打は、高卒2年目以内では、1953年の中西太(西鉄)に並ぶシーズン最多本塁打記録。さらに1986年に西武時代の清原和博氏が記録した31本塁打、78打点を超え10代の記録を塗り替えた。 だが、一方で打率.231の確実性と184個もあった三振数が課題だった。三振数は、昨年の両リーグワーストである。だが、今年は、その2つの課題を改善している。 なぜなのか? 村上は「去年1年間。143試合を経験させていただいて、その経験が一番大きい」と話した。実は、打率向上の理由が、この日の試合に象徴されていた。対左腕の対策である。 昨年、対右投手は打率.254だったが、対左投手は打率.198と苦手にしていた。だが、この日は、ガルシア、能見の両左腕からタイムリーを奪い取った。 今春の沖縄キャンプで話を聞かせてもらった際、村上は、こんな自己分析をしていた。 「右投手と左投手は別ものなんです。本来は、一緒の打撃をしてはいけないのに、昨年は、一緒のタイミングで入っていたんです。そこは分けて考える必要があるんです。このオフにいろんな方々の話を聞かせてもらって感じたことです。今季は、その対策をしたい」 米国自主トレに誘ってもらった青木宣親らからアドバイスをもらったという。