甲子園で感染予防ガイドラインで禁止されている大声を出したファンを球審注意の異例事態も場内アルコール販売の矛盾
甲子園球場で14日に行われた阪神対ヤクルト戦で大声を出した一部の観客を飯塚富司・球審が注意するという異例の事態があった。NPBが定めている有観客開催時の新型コロナウイルス感染予防のガイドラインで飛沫感染のリスクを減らすため大声の応援が禁止されているためだ。他にも10項目の禁止事項があるが、一方で場内ではアルコールの販売が行われており、厳格に大声、ヤジをコントロールするのが難しいという現状がある。8月1日からは上限5000人の制限も解除され収容人数の半数の入場が可能になる。WITHコロナの時代を乗り越えるための新しい応援スタイルを確立するのは簡単ではない。なお試合は阪神が6-3で逆転勝利し最下位を脱出。借金を「3」に減らした。
「大きい声ダメだよ」
甲子園名物のヤジも新型コロナ禍でのプロ野球においては笑って見過ごせない。阪神が3点リードで迎えた8回。阪神はマウンドに3番手の岩崎を送り、ヤクルトは代打・廣岡をコールした。廣岡が打席に入る前から三塁側ベンチ付近の最前列の観客から繰り返し大声が飛んでいた。何を言っているか聞き取りにくかったが、グラウンドに響くような奇声で2球目を投げようとサイン交換に入った岩崎が思わずプレートを外すほどだった。 見かねた飯塚球審は、「大きい声ダメだよ」と、三塁側の発信源のファンに向かって手をふって、その行為を制した。リズムが狂ったのか、岩崎は、廣岡にセンターオーバーの二塁打を打たれた。後続を断ち無失点に切り抜けたが、球審が異例の行動に出るのも当然の問題行動だった。 7月10日から上限を5000人に制限し、検温、マスク着用、客席の間にソーシャルディスタンスを取るなどの感染予防対策を徹底した上で、客入れが始まったが、NPBは感染予防のガイドラインを発表して10項目の応援禁止事項を定めているのだ。 「観客の皆様の対応」とした項の「応援スタイル」として「原則:応援歌合唱、鳴り物使用、大声、ハイタッチ等の接触禁止」とし、10項目の禁止事項が以下のように具体的に書かれている。 ・ジェット風船応援 ・肩組み、飛び跳ね等集団での動きを伴う応援 ・指笛の応援 ・トランペット・ホイッスル等の鳴り物応援 ・メガホンを打ち鳴らしながらの声援(自然に 歓声が大きくなる)※ただし、歓声を抑えてメガホンを打ち鳴らすことは可 ・ビッグフラッグ応援(旗の下で多数が密集状態で旗を動かす) ・ビッグプレー、ファインプレー等での観客のハイタッチ ・両手をメガホン代わりにした大声での声援、応援 ・フラッグ応援(多数が新聞紙大の手旗を振る) ・応援タオルを振り回す この日、球審に注意を受けた人物が「両手をメガホン代わりにしていた」かどうかは定かではないが、禁止されている大声 の声援、応援に該当する行為だった。 大声を禁止している最大の理由が飛沫感染の予防だ。