甲子園禁止“ヤジ”にも集中力切らさず決勝打…ヤクルト“20歳の最強4番”村上宗隆が打点トップを突っ走るワケ
ヤクルトが15日、甲子園球場で行われた阪神戦を9-5で制して首位・巨人とのゲーム差「0.5」をキープした。阪神を再び最下位に突き落としたのは、“20歳の4番“村上宗隆のバットだった。昨年は苦手としていた左腕から先制&決勝タイムリーの3打点。打点「24」はセ・リーグトップだ。打率も.367で2位につけている。プロ3年目の村上が急成長している理由とは?
41歳の能見から決勝タイムリー
「20歳の燕・4番」vs「41歳の虎・左腕」。 4ー4の同点に追いつかれた直後の7回1死満塁。勝負の行方は、この“21歳差対決”に委ねられた。阪神は2番手の伊藤和雄からベテラン能見篤史にスイッチした。 村上は「(能見が)来るだろうなとは思っていた。なんとか打ちたいなという思いで打席に入った」と、ベテラン左腕のワンポイント登板を予期していた。昨年は、6度対戦して本塁打を1本打っているが、後は抑えられている左腕である。 1、2球とストレートがボールになる。続く3球目も、ボール臭い外角球だったが、ストライクとコールされ、村上は珍しく審判を睨みつけた。無言の抗議である。 カウント2-1となったところで、新型コロナ禍のプロ野球ゆえのアクシデントが起きる。昨日に続き、また感染予防のため禁じられている奇声や大声の“ヤジ”がグラウンドに響きわたり、能見がセットポジションに入ろうとしたとき、村上が打席を外したのだ。 福家球審は、試合を止めてネット裏ブースに注意のアナウンスを指示。「お客様にお願いします。声を張り上げての応援はお止めくださいませ」との異例のアナウンスが流れた。 村上も能見も集中力を保つのが難しい状況になった。 続く4球目はフォーク。村上はバットを止めたがハーフスイングを取られた。だが、ここでバットが止まったのが、村上の成長度である。5球目に144キロのストレートが甘く入ってくると村上は、ホームランを狙うのではなく、非常にコンパクトなスイングでコンタクトした。打球はセンター前へ。決勝点となる2人が生還して、“21歳差対決”に決着をつけた。 「真っすぐ、フォークと順番にこられた。ツーストライクだったのでなんとか前に打球を飛ばして点を取れればと思って振った。ちょっと詰まっていたんですが、その分、いいところに落ちてくれた」 一塁ベースで村上は拳をボクシングのアッパーカットのように下から突き上げて喜びを表現した。