不登校を経験した子が通う「草潤中学校」とは?校則も制服もなし!校内どこにいてもOK!「自由というのは小さな選択の連続。それが子どもたちを元気にしている」
きまりが一切ない、校内どこで過ごしてもOKな中学校
2023年度の不登校の小中学生が34万人にのぼり過去最多となっている今、不登校の子どもの学びの場や居場所づくりが広がりつつあります。岐阜県岐阜市の中心部に令和3年に開校した草潤(そうじゅん)中学校は、東海地区初の公立の不登校特例校(現 学びの多様化学校)。校則や指定が一切ないことや、校内のどこでも授業が受けられること、自分のペースで休憩ができることなど、生徒に合わせたさまざまな形で通学できるのが特徴です。 校長の鷲見(すみ)佐知先生に学校の仕組みや先生方の思いを伺いました 【画像6枚】「草潤中学校」の一部校内を写真で紹介 ――草潤(そうじゅん)中学校が設立された経緯を教えてください。 鷲見校長:廃校になった小学校の跡地利用のために、いろいろと策を練っていた時期に、教育機会確保法という法律が制定されたんです。これにより、従来の「学校に行かなければならない」という枠組みを大きく変え、様々な方法で子どもたちに学びを届けることが可能になりました。その法律の後押しもあり、「不登校特例校(当時の名称。現在は学びの多様化学校)」として草潤中学校の設立が決まり、3年ほどの準備期間を経て令和3年に開校しました。今、4年目の半分くらいが過ぎたところですね。 ――現在の在籍者はどれくらいですか? 鷲見校長: 1年生12名、2年生16名、3年生18名です。新入生だけでなく、新2、3年生になる時タイミングでの入学も可能です。 ――学校にはどんな特徴がありますか? 鷲見校長:安全に関わること以外ではきまりが一切ないんです。とにかく自由です。校則もないし、制服もありません。決まっている行事はほとんどなく、出るか出ないかも自分で決められます。学校にいる間、子どもたちは自分の教室だけでなく、校内の好きな場所で過ごすことができますし、担任も子どもが選ぶことになっていて、年度の途中で変更することも可能です。 また、始業時間は9:30からと一般の学校より遅めになっています。起立性調節障害の子でも通いやすく、近所の学校に通う子と顔を合わせにくいということも考慮しています。 ――担任の先生も子どもが選べるんですね。 鷲見校長:個別担任という形ですね。以前は全ての教員の中から選んでいましたが、なるべく多くの教員と話す機会を作りたいという思いもあり、今は学年ごとに複数の教員の中から選んでもらうようになりました。草潤中学校は、施設内に発達障がいの子どもが通う「通級指導教室」や、市内の不登校の中学生が自由に通うことのできる「草潤サポート」、岐阜市の事業である「オンラインフリースペース事業(メタバース)」を施設内で行っていることもあり、生徒数に対して多くの教員がいるのも特徴です。(現在は25名)