「ブロック遊び=図形に強くなる」とは限らない…中学受験の算数に強い子が幼児期にやっている"意外な遊び"
算数が得意な子は幼児期に何をしているのか。プロ家庭教師集団名門指導会代表の西村則康さんは「算数的な力を伸ばすために、幼児期に何か特別なことをやらせる必要はない。日常会話や絵本の読み聞かせ、道を歩く経験が算数の力につながってくる」という――。 【この記事の画像を見る】 ■「あなたは本当に算数が苦手ね」その一言が算数嫌いにする 中学受験は算数が得意だと有利、とよく言われる。確かに、算数は他の教科よりも1問に対する配点が高いし、「受験算数」という小学校の授業で習う算数よりも高度な内容を扱うため、点差が広がりやすく、算数が得意であった方が有利に働くのは事実だ。しかし、この言葉が一人歩きしてしまい、「中学受験をさせるのなら、幼児期の頃から算数を鍛えておいた方がいい」と、小学校に上がる前から大量のドリル学習をやらせる家庭が増えているように感じる。しかし、私はこの早期からの「勉強のやらせすぎ」には断固反対だ。なぜなら、必ず親の余計なひと言が付いてくるからだ。 「ほら、ここ間違っているよ」 「何でいつも同じことを言わせるの? 何度言ったら分かるの?」 「またできていない。あなたは本当に算数が苦手ね」 親からすると、「ちょっと言ってしまっただけ」程度なのかもしれない。しかし、こうした言葉を言われ続けた子どもは、「勉強ってつらいな」「ちっとも楽しくないな」と勉強=イヤなもの、と思うようになったり、「僕は算数ができない子なんだな……」と苦手意識を持ってしまったりするようになる。つまり、わざわざ算数嫌いな子にさせてしまうのだ。そんなことになるくらいなら、早い時期からドリルなんてやらないほうがずっといい。 ■「音」「文字」「実物」のトライアングルで数を理解する もし、幼いときから算数的な力を伸ばしていきたいと考えるのなら、計算ドリルや知育玩具といったモノを与えるのではなく、普段の親子の会話の中で、「数」を入れることを意識してみてほしい。例えば、カゴの中にあるミカンを取ってほしいと言うとき、ただ「ミカンを取って」と言うのではなく、「ミカンを2つ取ってくれる?」といったように、数をしっかり伝えるのだ。 数というものは、「一つ、二つ、三つ」といった音声による音情報と、数字の「1」「2」「3」といった文字による文字情報と、実際にある「実物」の3つが、トライアングルのような三角形の関係になっていて、この3つを理解できて初めて「数」が理解できるようになる。