「ブロック遊び=図形に強くなる」とは限らない…中学受験の算数に強い子が幼児期にやっている"意外な遊び"
■指折りで数える習慣で「10の補数」の感覚を身につける 算数は、大きく「数」と「図形」に分類される。幼少期に特に鍛えておきたいのは、「数」だ。そういうと、早くから計算ドリルに走ってしまう家庭が多いが、先にも言ったように、幼児期にやってほしいのはそれではない。「数が数えられるようになる」「10の補数がすぐ出る」、この2つさえ押さえておけば十分だ。数は、日常会話の中で意識的に取り入れることで、身に付いていく。また、お風呂で数を数えたり、散歩で歩数を数えたりして、遊びながら大きな数を覚えていくのもおすすめだ。 10の補数の理解は、指折りで数える習慣を付けることだ。幼児にとって数は、1、2、3……くらいまではイメージができるが、それ以上になるとすべて「たくさん」になりやすい。しかし、実際は7と8は違う。こうした違いをつかむのに、「7は残りの指が3本立っている」「8は残りの指が2本立っている」という10の補数の感覚があるかどうかが、非常に重要になってくる。幼少期にこの10の補数の感覚を身に付けておくと、その後の「計算」でもつまずきにくくなる。 ■パズルをすれば図形センスが育つとは限らない 「図形」的センスを鍛えるのに、パズルやブロック遊びがいい、とよく言われる。確かにこれらをやっていた方が、図形に親しみやすくなるというのは事実だ。しかし、同じように幼少期に遊んでいたにもかかわらず、さほど効果が表れない子もいる。その違いは何かというと、それ以前の「行動範囲」が大きく影響している。 これはどういうことかというと、「一度行ったところに、もう一度一人で行けるかどうか」。つまり、空間認識を鍛える訓練をしてきたかどうかが大きい。幼い子どもと一緒に出かけるとき、多くの親は子どもの手をつないで、目的地まで「連れて行く」。しかし、このように親が引っ張ってしまうと、子どもは自分が今どこにいて、次にどこに行こうとしているのか、この道は本当に正しいのか、間違っていないか考える機会を奪うことになる。 すると、子どもはただ「付いていく」だけで、まわりを注意深く見たり、道幅がどのくらいあるかといった周辺情報をキャッチしたりするといった力を伸ばしていくことができない。つまり、空間認識を鍛えることができないのだ。