農作物被害は158億円 ベテラン狩猟者と初心者の融合で、解決目指す
免許取得から狩猟までをスムーズに
現在、狩猟免許は、網猟、わな猟、銃猟の3種に大きく分かれている。網猟はおもに鳥を捕獲するもので、シカやイノシシなどの獣の捕獲には、わなや銃が使われる。基本的に猟場となる都道府県に狩猟税を納めていれば、猟友会に所属しなくても猟期に狩猟をすることはできる。 だが、銃やわなの使い方はもちろん、動物たちがどこの道を歩くのか、集まる場所はどこなのか、猟場となる山や森についても詳しく知らないと捕獲は難しい。仮に捕獲できても、山から下ろし、解体処理するには仲間の猟師の協力が必要になる。地域の猟友会は、猟師が協力態勢を組むハブの役割を担っている。 秩父地域で暮らす70代の猟師はこう説明する。 「法律的には、免許を持っていて、埼玉県の狩猟許可があれば、猟区で誰が猟をしてもいいことにはなっている。ただ、地元の猟師たちの間では、暗黙のうちに猟場が決まってる。やっぱり地元で猟をするには、猟友会に入ってもらわないといけないな」 免許を持っていても、知り合いがいない猟友会に入るのには、なかなか勇気がいる。環境省鳥獣害保護管理室の担当職員も、免許取得から実際に狩猟をするまでのハードルを下げる必要性を感じている。 「都道府県の猟友会で、初心者の方々に技術を教えたり、同行して技術や知識を伝えたりしているところもあります。これからはそういう取り組みが必要になってくると考えています」 吉田さんのカリラボには、免許はあるものの、なかなか狩猟の機会がなかった人たちが集まってきた。
「本当は一人で山に入って猟をしたいのですが、とっかかりがなくて。猟の体験を重ねれば、どこで銃を撃てばいいかもだんだんわかってきますし」 カリナビを通じて12月の巻き狩りに参加した40代の男性は、そう語った。アウトドア好きが高じて2019年に狩猟免許を取得したというが、猟の経験はこれまでに2回。横瀬町での巻き狩りへの参加は今回が初めてだった。 武甲猟友会の会長を務める楮本佳司さん(68)は、カリラボの活動を好意的に受け止めている。 「こういう活動で猟の楽しみを知る人たちがどんどん増えてくれればいいなと思っています。昔の猟師はよそからやってくる者は絶対に入れないという主義の人が多かったけど、今はよその人でも仲良くしていかないと。どこでもそうだと思いますよ」