ガチャマシン開発者は「電源いらず」にこだわる? タカラトミーに聞いたカプセルトイ60年の歴史と矜持
機械式にこだわる意外な理由
ガチャのマシンを作っている会社が、機械で物理的に解決する方法にこだわっているのが、ガチャの最も面白いところだと思う。電子的なセンサーを使えば簡単に実現する機能も、どうにか物理的な仕掛けで解決しようとする、その姿勢が初期から一貫しているのだ。 「電源いらずがガチャの特長だということもありますが、実は機械式の方が特許が取りやすいという事情もあるんです。電子的なものや回路的なものは誰でも考えつくという理由で特許が下りないんです。例えばセンサーを使うと、センサー自体は特許が取れても、その活用法では特許は取りづらい」と福本さん。そうやって、ガチャマシンは特許技術の集大成のような形で進化してきたわけだ。 アメリカからやってきたガチャだが、欧米にもガチャマシン自体を輸出している。ただ、アメリカだとドルが紙幣なので、中々難しいのだという。25セント硬貨4枚で1ドルだが、今どき、1ドルのカプセルトイはほぼない。 日本でもメインの価格帯は300~400円となっている。3ドルとしても、コイン12枚が必要で、それはあまり現実的ではない。逆にアジアはコインが多いので、台湾などには大量にガチャマシンが並ぶ店舗も多いらしい。コインのサイズや材質を現地のものに合わせれば、輸出用が簡単に作れるのも、無電源、フル物理のマシンの強みだろう。 それにしても「ガチャ2 Ez」は、発売から17年経っているのだけど、古さは全く感じられない。もっとも、途中で社名が変わったりもして、ロゴなどのシールは変わっているのだけど、デザインはそのままだ。しかも、ガチャのカプセルトイになったり、貯金箱になったり、さらにはバックパックにまでなっているけれど、どれも、つい欲しくなる程度にはカッコいい。 「でも、これが完成というわけではないですし、個人的にやりたいことはまだありますから。時代に合わせた進化は続けたいですね」と福本さん。 実は、カプセルを開けやすくした経緯とか、新しい素材を使ったカプセルの開発など、マシンの中身であるカプセルについても、色々面白いお話しが聞けたのだが、それはまたの機会に書いてみたい。
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