俳優・名取幸政さん「胆嚢がん」で死去 どんな病なのか、原因・症状を医師が解説
俳優の名取幸政さんが21日、「胆嚢がん」のために亡くなっていたことが報じられています。82歳でした。胆嚢がんは、消化器系のがんの中でも比較的まれながんの1つです。 【イラスト解説】がんを予防する可能性の高い食べ物 そのため、胆嚢がんの症状や原因、治療方法については十分に知られているわけではありません。そこで、胆嚢がんの基本的な知識から、その原因・症状・治療方法について医師の甲斐沼先生に解説してもらいました。
胆嚢がんとは?
胆嚢がんは、消化器系のがんの一種で、胆嚢と呼ばれる小さな臓器に発生する悪性腫瘍です。 胆嚢は、肝臓から分泌される胆汁を一時的に蓄え、食事によって刺激されると胆汁を十二指腸に送り出す役割を果たしています。 胆嚢がんは、この胆嚢の内壁から発生し、進行すると周囲の臓器やリンパ節に広がる可能性があります。 胆嚢がんは、初期段階では自覚症状が少ないため、発見が遅れる傾向にあるといえるでしょう。そのため、診断された際には進行していることが多く、治療が困難ながんとされています。 早期発見と適切な治療が重要であり、定期的な健康診断や自覚症状に注意を払うことが求められます。
胆嚢がんの原因は?
胆嚢がんの発症の原因として代表的なものは下記の5つです。 ・胆石 ・胆嚢ポリープ ・慢性胆嚢炎 ・高脂肪な食事・飲酒・喫煙などの生活習慣 ・遺伝的要因 原因の1つとして考えられているのが、胆石です。胆嚢に石ができる状態を胆石症といい、この胆石が長期間存在し、胆嚢の内壁に炎症や刺激が続くことでがん化するリスクが高まるとされています。 また、胆嚢の内壁から突き出た良性の腫瘍を胆嚢ポリープといい、この胆嚢ポリープは時間の経過とともに悪性化する可能性があります。 さらに、慢性胆嚢炎も胆嚢がんのリスク要因の1つです。胆嚢が炎症することを慢性胆嚢炎といい、胆嚢炎を繰り返すことで、胆嚢の細胞に変化が生じる場合もあります。それによって、胆嚢の細胞ががん化するリスクを増加すると考えられています。 食生活や生活習慣も胆嚢がんのリスクを高める要因です。特に、高脂肪の食事・過度なアルコール摂取・喫煙などが胆嚢がんのリスクを高めることが知られています。 ほかにも、遺伝的要因も胆のうがんの原因の1つと考えられています。そのため、家族に胆嚢がんになった人がいる場合には、注意が必要です。もちろん、これらのリスクファクターが存在するからといって、必ずしも胆嚢がんになるわけではありません。 しかし、リスクファクターを持つ人は定期的な健康診断や専門の医師の診察を受けることで、早期発見・早期治療につなげることが重要です。