年末RIZINで異色の最強女柔術家vs女子プロレス神取忍戦が実現!
25キロ以上の体格差、総合格闘技戦から離れてきたブランク、52歳という年齢。ガルシアは「できるだけ減量して体重を近づけてあげる」と語ったが、試合前から神取にとって不利な条件ばかりが並ぶ試合。 それでも神取は、「私は本能で戦うんだが、彼女には全然気迫がなく、威圧感がないのでがっかりしている。これまで殴られてきて、もう顔面は壊れているので恐怖感はない。逆に恐怖感を与えてやる。柔道は柔術からきているので柔術も勉強している。戦術的に細かいことはここでは言えないが、ギャビは荒削り。ヒントは、そこ」と、まだMMA経験が3試合で、パワーに任せただけの隙だらけにファイティングスタイルに勝機があることを明言。「昔みたいな何時間も追い込むようなトレーニングはできないが、科学的なトレーニングをすれば1時間でスパーも含めてコンディションを整えることができる。万全な状態で戦える」と、年齢面での不安説も一蹴した。 高田延彦統括本部長も、「柔よく剛を制すという。ガルシアが鋭い大きなナタを振り回すなら、神取は致命傷を与えるような剃刀を持って懐に飛び込んでクビを掻っ切るような戦いを挑むだろう。会場がゆさぶられるハートに響くような試合を見せて欲しい」と、試合展開を独特の表現で予想した。 最後の写真撮影では、ガルシアが指差す手を神取がはねのけて、一触即発の雰囲気となり、高田統括本部長が間に割って入って止めるシーンも。スポーツ化、アスリート化が進む昨今の総合格闘技界が失いつつある“戦いの原点”を思い出させるような緊張感を“プロレスラー神取”は、しっかりと作り出していた。 大が小を制するは、格闘技の基本中の基本。神取にチャンスは乏しいが、黎明期のUFCにもみられたように、技術レベルが低い時代の試合では、体格で劣るホイス・グレイシーが巨漢格闘家を“落とす”というアップセットが起きてきた。この試合は、王道からは外れる異色、キワモノの域に入る異種格闘技戦かもしれないが、“ミスター女子プロレス”が、どこまで見せ場を作るか、勝ち負けを抜きにした試合内容への期待感はある。現在の格闘界へのアンチテーゼの意味も込めた話題のカードであることは間違いない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)