「いつかインラインスピードスケートも五輪種目に」「遠征費100万円は自費」親子で日本記録を持つスケート界の姫・高萩嬉らが語る父と五輪への思い
五輪が叶わずとも「父への思い」を糧に
──そんな苦労が……。そうなるとロサンゼルス大会で正式種目に採用されるかどうかは死活問題ですね。 ロス大会の種目が開催の2年か1年半ぐらい前に正式決定するんですが、採用されたら本当にうれしいです。今、年齢的には選手として1番いい時期なので。 実は、前回の東京大会でも正式種目として候補に挙がったときも、採用されるんじゃないかっていわれていたんですよ。発表の直前まで、連盟の人もみんなスケートが遂に五輪競技になると思っていて。 新競技になる種目が発表されたときはスケボーの堀米(雄斗)くんと一緒にいたんですけど、蓋を開けたらスケボーで「えっ!?」みたいな感じでした(笑)。ずっと同じ“新競技候補”だったスカッシュ(ロス大会で正式種目に)とかフリークライミングも、五輪種目になって選手もますます活躍していますし、うらやましく思ってます。 ──オリンピック出場は、まずは正式種目に採用されることが大前提となる途方もない夢を追いかけてるんですね。 いつかインラインスピードスケートもオリンピック種目になってほしいですが、採用されるかどうかは選手の立場でもわかりません。私たちも候補に入ったことをニュースで知るくらいで、採用に向けてできることもなく、連盟がどう動いているかに懸かっています。 あと、日本ではまだ競技人口が約100人しかいないマイナースポーツなので、仮に種目に採用されても、メダルを獲れるほどの実力に達していないんですね。 (国際大会出場の指標となる)ワールドポイントが低くて日本人選手が出られないこともあり得るので、今はまず、父をはじめとした指導者がオリンピック種目になったときに日本人選手が順位に絡むような“強い選手”を育成するっていうのが第一段階だと思っています。 ── 一部では五輪種目の採用は厳しいのではないかという悲観的な見方もありますが、それでも競技に向き合っているのはどのような思いからでしょうか。 選手としては、オリンピックがなくても世界大会やワールドゲームズなど国際大会があります。あとは、コロナ禍で大学1年のとき以来は海外の大会に行けず、全然やりきれていないので今も続けています。大学4年間で “完全燃焼”していたら、たぶん続けていなかったと思います。 もちろん、父への思いもあります。私も妹も「お父さんが出られなかったぶん、オリンピックに出られたらいいね」という話はずっとしていて、そうした父への思いで今日まで続けてきた部分はあるので。選手としてというより、私個人としては父のために頑張っている面が強いです! 取材・文/集英社オンライン編集部 撮影/井上たろう
集英社オンライン
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