「いつかインラインスピードスケートも五輪種目に」「遠征費100万円は自費」親子で日本記録を持つスケート界の姫・高萩嬉らが語る父と五輪への思い
スポンサーがつかず遠征費約100万も自費
──全日本選手権小学生の部で優勝されていたり、その指導の成果は幼少期から出ていたと思います。大人になってからも厳しい練習は続いたのでしょうか。 インラインスケートの中でも私が主戦としているマラソン種目は42キロなので、練習だと50キロとか走ります。試合の公式リンクは屋外が多いので、今みたいな暑さでも練習は屋外ですね。 あと、韓国に合宿に行ったりするんですけど、そのときの練習はもう……。山の中を25キロランニングとか、毎日毎日、朝と昼の2部練習が1週間毎日あってすっごいキツかったです! 今年の8月も20日まで台湾で1週間合宿をしましたが、尋常じゃない暑さで本当に大変でした。大学時代も、なるべく脚を鍛えるために往復40キロを自転車で通学していて。 それも父が選んだすごくタイヤの小さい折りたたみの自転車に乗っていました。毎日のように使うからすぐボロボロになって4年間で3台くらいは買い替えて、台風の日以外は毎日、暑い日も寒い日も自転車で通っていました。 ──学生時代のメディア出演では実力以外に「かわいい」と容姿も注目されましたが、率直にどのような思いでしょうか。 えぇ……(笑)。本当に、スケート界自体が注目されないので、最初はすごく戸惑いましたが、競技を知ってもらうきっかけになればうれしいです。 本当に競技自体を知らない人が多くて、なんらかの形でスピードスケートを知ってもらう機会すらなかったので。全然そんな“美女”って感じじゃなくて、大学時代も練習で“汗だく”って感じでしたし。ファッションとか美容もまったく……そもそも興味もなくて、4年間ジャージで、本当にスケートだけやってきました。 ──現在は働きながらスケートをされていますが、これはインラインスケート界では前例のない挑戦だそうですね。 日本だと社会人になってからもスケートを続けている選手は、過去も含めて女子だと私しかいません。やっぱり、マイナー競技でお金が稼げるスポーツではないので……。みんな大学卒業を機に完全にやめてしまいますし、私もスケートでの収入はゼロです。まだ社会人になって1年あまりですが、しっかり競技と向き合って前例を作りたいと思いつつも、前例がないので誰も教えてくれないという葛藤もあります。 ──まさにパイオニアといえますね。具体的にマイナースポーツゆえの苦労には何がありますか? スポンサーが付くかどうかはオリンピックの種目かどうかで全然違います。このスケートシューズも自費なのですが、足のサイズを細かく測って作るので1足20万円するんです。ローラーだけでも7万円するんですが、これは1試合で壊れることもあります。 今年の台湾合宿も自費でしたし、8月29日から大会出場で3週間イタリアに行く予定ですが、合計100万円くらいかかる遠征費はすべて自費です……。
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