「努力の仕組み化」に挑戦 三日坊主でも日記を続けられるコツとは
1カ月間、努力して分かったこと
1カ月間、日記を毎日書くようになって実感したのは、だんだん同じような時間に「あ、日記を書かなきゃ」と思うようになったことです。これがいわゆる「自動化」ではないかと思われます。本書のp.70でも紹介されているように、自動化されるまでの日数は人によってバラつきがあるようですが、私の場合は1カ月以内に自動化されていたといえそうです。 日記をつけ続けられた3要因を先述しましたが、これらをまとめると、「努力の継続には環境を整えることが大切」という結論にたどり着きます。 一緒に努力してくれる人を確保し、自分がどう怠けるかを予想して対策を取り、「意味」を感じなくなってやめたくなったときに刺激を与える工夫をしておくと、楽に努力できました。つまり、日記を1カ月間つけ続けるのにやる気は必要ありませんでした。 今回の実験の結果について、山根さんは次のように述べています。 努力成功率100%達成! 驚きの結果です。「自動化」まで体感できていて、素晴らしいです。 本書の「性格に合わせたご褒美設定のポイント」(p.85)や「ダイエット──『性格に合わせたやり方』が成功のカギ」(p.147)で紹介したように、「人それぞれに合った努力の仕方」というものがあります。 黒田さんには他人の力を借りる「社会比較」が合っていたようですね。フィードフォワードが合わないことが分かったのも重要な発見です。本書で紹介した様々な努力のコツをうまくカスタマイズして、最も自分に合った「仕組みづくり」に成功しています。 先輩にチャットで報告するという仕組みには、様々な要素が詰め込まれています。 黒田さん自身が考察しているように、チャットで報告することによりログが残り、それがフィードバックの機能を果たしています。また、先輩からの(おそらく即時の)フィードバックもあり、非常に効果的な仕組みづくりだったといえるでしょう。 さらに、「会社の先輩が相手だったため、後輩という立場上サボりづらいという心情もありました」と振り返っているように、「自分を追い込むコミットメント」をうまく設定できています。 黒田さんは本書のp.129で紹介した「ソフィスティケイテッド」で、自分の意志の弱さを理解し、それを事前に防ぐ方策を自然と取れているのでしょう。 また、短い期限を設け、それを達成していくのが効果的だったという考察もされています。実は学術研究でも、大きな目標をいきなり目指すのではなく、小さな目標を少しずつ達成していくのがよいとされています。期限を切っていくというのはまさにそれに当たり、ここでも自然と効果的な方策を採用していたようです。 「努力を続けるのにやる気は必要なかった」という結論も、きっと多くの方の励みになることでしょう。 自分が他人の力を借りることで努力できるタイプということを、初めて知りました。自分がどういう人間かも、努力の仕方で分かるのはとても面白いと思いました。 本書『努力は仕組み化できる』が、多くの人々の「努力」を力むことなく実現させるための一助となることを願ってやみません。