なぜ部下は、すぐにあなたを頼ってしまうのか? 指示待ち型の部下を自ら動かすための「11の戦略」
私が講師を務めたセミナーの出席者も、プレイングマネージャーを上司に持つとのことで、「私の上司は明らかにキャパオーバーです。上司はいつも忙しそうなので声をかけることをためらってしまいます」と話していました。あまりに忙しすぎて、部下が仕事の相談をためらうようでは、リーダーシップを発揮できるわけがありません。 プレイングマネージャーが日本にまん延しているもうひとつの原因は、日本企業のマネージャーの役割に対する考え方によるところが大きいと思います。 多くの日本企業では、マネージャーをリーダーとして考えるのではなく、物事を承認したり、レポートを書いたり、ミーティングに出席したり、問題があったときに責任をとったりするという管理的な役割としてとらえています。また、マネージャーという役割は、お役所的な仕事をするだけで時間もかからないので、チームメンバーの仕事と並行して簡単にできるとみなされているのかもしれません。マネージャーに関する日本独特の狭く古風な概念は、いまこそ変える必要があります。 プレイングマネージャーの立場にある人が、チームメンバーの仕事をしなければならないときに、リーダーとして行動するにはどうすればいいのでしょうか? ひとつは、本章で紹介するアイデアを活用して、できるだけ多くのことを部下に任せることです。たとえあなたがチームメンバーの仕事をしなければならないとしても、より基本的な仕事の一部を部下に任せる方法があるかもしれません。 より抜本的なアプローチをあげるなら、チームを自己管理型チームにして、マネジメント業務の一部を他のメンバーと分担するというのはどうでしょうか。これはある意味、管理業務の一部を委任していると考えることができます(ただし、分担しているので、完全に委任しているわけではありません)。 どのようにチームをマネジメントするかは、自分なりに決めてもいいのです。部下にもっと責任を持たせ、チームとして仕事の進め方を整理し、決定していくことを試してみてはいかがでしょうか。チームを管理する仕事を分担するために、あなたとチームが仕事の進め方をどのように変えられるか、そのためにはチームの仕事の進め方を大幅に再構築する必要があると思いますが、潜在的なメリットも大きいはずです。
ロッシェル・カップ