COP28、「化石燃料からの脱却」で合意 各国は危機感共有し、一層の排出量削減を
フランスや米国が主導して石炭火力発電からの転換を加速させることを目指す有志国連合も発足した。連合には欧州連合(EU)、カナダ、インドネシア、マレーシア、英国などが参加した。日本も一時参加する方向で調整したが、最終的に見送った。岸田首相は演説で、排出削減対策が取られていない新規の石炭火力発電所の建設を終了していく方針を表明したものの、終了年限は示さなかった。
有志国宣言の中でも注目されたのが「原発3倍」宣言だった。「気候変動対策に原子力は重要な役割を果たす」と明記。「小型モジュール原子炉」など、次世代の開発を進めて世界の原発の発電能力を2050年までに3倍に増やすという内容で、米国、日本のほか、カナダ、フランス、フィンランド、韓国、ウクライナ、英国などが参加したが、その数は20程度にとどまった。この宣言に対しては国内外の環境団体が連名で批判するコメントを発表している。
気候変動の適応策の柱の一つとされる食料・食糧生産を強化することを目指す宣言もまとまり、158カ国が賛同した。発展途上国では食料・食糧の確保が危機に立たされているとして途上国支援の重要性を強調している。気候変動の影響を受けやすい疾病のまん延などを防ぎ、健康リスクを下げるための対策を強化する宣言も出され143カ国が参加した。2つの宣言には日本も名を連ねた。
UNEP、気温も排出量も過去最高と警告
国連環境計画(UNEP)はCOP28開催を前にした11月20日、世界の2022年の温室効果ガス排出量が増え続けていると警告する報告書を発表した。「排出ギャップ2023」と題し、副題は「壊れたレコード」。壊れたレコードのように同じことを繰り返し言うことを意味しているが、温室効果ガスの排出削減が一向に進まない実態を皮肉ったともとれる。
報告書はまず、今夏の世界的な猛暑に言及して「9月は過去最高値を0.5度上回って平均気温は産業革命前と比べ1.8度高かった。パリ協定が目指す『1.5度』を上回った日が年間86日を数えた。史上最も暑い夏になり、壊滅的な異常気象が発生した」などと指摘。22年の世界の排出量は前の年から1.2%増えて過去最多となり、CO2換算で574億トンの最高値を記録したと明記している。