女子フィギュアは空白の時代か
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズは第6戦のNHK杯で全戦が終了し、各種目6人・6組のGPファイナル進出メンバーが決まった。 日本勢は男子シングルに町田樹(関大)、無良崇人(HIROTA)、羽生結弦(ANA)と3人を送り込んだのに対し、女子シングルは14シーズンぶりにGPファイナル進出者ゼロ。 ソチ五輪金メダリストのアデリナ・ソトニコワを負傷で欠きながらも、エレーナ・ラジオノワ、ユリア・リプニツカヤら15歳から17歳までの若い4選手が出場権を獲得したロシア勢、着実に2選手を送り込んだ米国勢に差を付けられた格好だ。 日本女子の先行きはどうなのだろうか。 NHK杯では、シニア参戦2年目、16歳の宮原知子(関大高)が合計179・02点で3位、ソチ五輪代表の村上佳菜子(中京大)は173・09点で4位だった。宮原はフリーだけを見ればNHK杯を制したグレイシー・ゴールド(米国)に続く得点だっただけに、ジャンプのミスが悔やまれる。経験豊富な村上も、フリーでまさかのジャンプ跳び過ぎ違反を犯しており、このミスがなければという悔しさが強い。 宮原は「慎重になりすぎてスピードが出ず、ジャンプの失敗につながった」と力なく言い、跳び過ぎ違反で3連続ジャンプが0点となった村上は「あれが0点になってしまったのが…」と渋面を作った。 GPファイナルといえば、ここ10年は日本女子が常に主役を張るような活躍を見せてきた。村主章枝、浅田真央が優勝経験を持ち(浅田は最多タイの4度優勝)、荒川静香、安藤美姫、鈴木明子らも表彰台を経験している。毎年誰かが必ず3位以内に名を刻んでいたのだ。 ところがソチ五輪後の今シーズンは浅田が休養し、鈴木と安藤が引退した。現在は、バンクーバー五輪前から世界上位で戦ってきた実力者がごっそり抜けてしまったことによる“我慢の時期”と言える。 このような時期が訪れるかもしれないとの見方は、数年前からあった。日本スケート連盟は伊藤みどりが銀メダルを獲ったアルベールビル五輪後の1992年夏、全国から小学生を集め、長野県野辺山で「全国有望新人発掘合宿」をスタートさせた。「優秀な個の力に頼るだけでは世界で闘えない。選手層を厚くすることが必要だ」という考えから生まれた取り組み。この努力が実を結んだのが、トリノ五輪の荒川の金メダル獲得だった。鈴木も安藤も浅田も、こういった流れの中で成長していた。