インドネシア地震津波は海底地すべりが原因か 日本でも中央構造線断層帯などで起きる可能性
日本の活断層地震でも津波発生の可能性
活断層が引き起こす地震によって海底地滑りが起きて、大きな津波が発生する可能性は日本でも十分考えられるようだ。 遠田教授は、近畿地方から四国北部を通って九州に延びる活断層「中央構造線断層帯(約444キロ)」を例に説明する。 「中央構造線断層帯も紀淡海峡、鳴門海峡、豊予海峡といった海域を通る。インドネシア・スラウェシ島のケースで、大部分が陸域を通っている活断層が引き起こす地震でも、大きな津波が発生することが改めて分かった。国内でも同じようなことが起きて、ローカルな津波発生する恐れがある。中央構造線断層帯に限らず、日本には海域を通っている活断層は多く存在している。今後、津波防災を考えるうえで考慮する必要がある」
インドネシア当局が国際協力を拒むことを懸念
報告会ではこのほか、東北大学と縁のある現地の人々の声も紹介された。 遠田教授のところで留学生として学んでいた女性は、街に壊滅的な被害を与えている大規模な液状化現象について「液状化危険度マップで指摘されていた場所で起こったのに、政府は何も対策をしていなかった」と話しているという。 また、パル市にあるアルハイラート大学と部局間協定を結んでいる東北大学病院てんかんセンターの中里信和教授は、「病院や建物がつぶれて、思うように医療活動できる状況ではない。日本から来ている支援隊などと一緒に活動しているが、10月9日時点でインドネシア当局が国際的な協力を拒むという噂があり、とても心配している」という現地の知人とのメールの内容を紹介した。 (取材・文 飯田和樹)