トライアウト視察の本田圭佑が語った。「リアルサカつく」挑戦の狙いとブラジル「ボタフォゴ」からのオファー
元日本代表MF本田圭佑(33)が立ち上げた新しい形態のサッカークラブ、One Tokyoのトライアウトが24日、東京都調布市のアミノバイタルフィールドで開催された。 本田は今月14日に自身のツイッター(@kskgroup2017)で「2020年、本田圭佑、サッカークラブをみんなと一緒に創り上げるためゼロから立ち上げます」と宣言。都内近郊の勤務または在住で、毎日トレーニングが可能――を資格として、20日正午までトライアウトへの参加者を募集した。 総勢530人に達した応募者が書類選考で110人に絞られたなかで、実際には90人がアミノバイタルフィールドへ集結した。30分ハーフで行われた試合形式の選考を視察した本田は、唐突に思いついた構想ではないと強調したうえで、One Tokyoの発起人になった経緯を説明した。 「プロサッカークラブの経営にはずっと興味があって、ご存じのようにオーストリアでそういう経験をしていますし、カンボジアとウガンダでもプロクラブを経営しています。東京でも3、4年ぐらい前からクラブを作る構想がありましたけど、なかなかタイミングが合わず、それがたまたまこの時期に、それもゼロから作っていくのが一番いいのでは、という考えに至りました」 選手選考を含めたすべてをゼロベースからスタートさせる点で、本田にとって初めてのチャレンジとなる。これまでは既存のクラブの経営に参画してきたが、オーストリアのSVホルンでは日本人の経営陣と古くからの地元サポーターが乖離する失敗を味わされ、昨シーズン限りで撤退している。
「スポーツクラブとはみんなのものだと思っているので、(関わっていく)全員が自分事として本気でよくしていける、盛り上げていけるクラブを作りたいと思ったのがきっかけです」 こう語る本田は中央区を登録エリアとして、J1から数えれば10部に相当する、東京都社会人サッカーリーグで一番下となる4部から今春に船出するOne Tokyoを、人気サッカークラブ経営シミュレーションゲームになぞらえて、クラブのホームページ上で「リアルサカつく」と表現している。 <監督や選手のスカウトや獲得、グッズ作成や販売、ファンサービスやスポンサー営業など、リアルサカつくという「ドリームジョブ」を自由に発案して、選挙を行って決めていく>(原文のまま) 全員参加型のクラブ経営を謳い、東京から世界へ、さらには世界一を目指すコンセプトをクラブ名称の一部の『One』に凝縮させた。オーナーとして名前を連ねているものの、本田は「僕のクラブではなくみなさんのクラブ。僕とみなさんは対等です」と強調したうえで、こんな言葉も紡いでいる。 「基本的に僕が権力を発揮して、何かを決めることはいっさいないと断言します。僕はファンとして、あるいはサポーターとして一票をもっていて、もちろんみなさんも一票をもっている。毎年昇格していってJ1を目指す、ということは僕一人でできることではないので。ひとつだけ約束できるのは、みなさんが関わり続ける、関わっていると思える運営システムを維持し続けることです」 おりしもリオデジャネイロを本拠地とする古豪ボタフォゴが、所属クラブがない状態が続いている本田の獲得へ向けてオファーを出した、とブラジル国内で報じられた。 この日のトライアウトにはブラジルのメディアも取材に訪れ、ボタフォゴ入りする可能性の有無を直撃している。 「確かにブラジルは最高で、世界でも最強の国だけど、次のクラブについては何も決めていません」 英語で対応した本田は、代理人を務める3歳年上の実兄、弘幸氏に対してボタフォゴ側からコンタクトがあったことを認めたうえで、かねてから語ってきたヨーロッパへの思いを展開している。 「いまは数多くのクラブと話をしている最中であり、以前から話しているように、僕自身はヨーロッパでプレーしたいと望んでいる。偉大なクラブのひとつであるボタフォゴが興味をもってくれたことは非常に嬉しいが、しっかりと考えて結論を出したいので、現時点でイエスかノーかは言えません」