高齢の「おひとりさま」はあらかじめ知っておくべし!…認知症に備える〈5つの財産管理方法〉
高齢の「おひとりさま」にとって、財産の管理方法はとても重要です。とくに、認知症になる前にしておいたほうがいい財産管理方法が5つある、と一般社団法人日本ホームステージング協会 代表理事の杉之原冨士子氏はいいます。杉之原氏の著書『おひとりさま最後の片づけ やるべきこと・やらなくてもいいこと』より、詳しくみていきましょう。
認知症と診断されてすぐ口座凍結されるわけではない
認知症になると、銀行口座が凍結されると聞いたことはありませんか? 口座名義人が亡くなった場合、口座が凍結されることはご存知の方が多いと思いますが、認知症になり、判断能力が低下した場合にも口座が凍結されます。 具体的には、預貯金の引き出しや入金、定期預金の解約や契約の変更などができなくなります。これは、判断能力の低下によって、詐欺や口座の不正使用などの犯罪に巻き込まれ、不利益をこうむることがないようにするためです。 口座は、認知症と診断されたからといって、すぐに凍結されるわけではありません。凍結のタイミングは銀行によりますが、口座名義人が認知症であることを銀行が把握し、判断能力が著しく低下している場合に、凍結の処置がされることが多いようです。 認知症になって口座が凍結されたら、医療費や介護費、生活費に使おうと銀行に預けていたお金が使えなくなります。それを未然に防ぐには、どんな対策があるのでしょうか。
〈対策1〉「キャッシュカード」のありかと「暗証番号」を伝えておく
→あまりおすすめできません 銀行口座の凍結対策としてまず思いつくのが、キャッシュカードを保管している場所と暗証番号をお子さんや親族に伝えておき、認知症になった場合に、代わりに預貯金を引き出して介護費用などを支払ってもらう方法です。 この方法で対応している方も実際には多いかもしれませんが、銀行のルールとしては、ATMでの取引も口座名義人本人に限られています。しばらくは、家族がキャッシュカードを使って出金できても、ATMで限度額いっぱいの金額を何度も引き出すなど、利用状況によっては銀行から本人に確認の連絡が入ることがあります。そこで認知症であることを銀行が把握すると、口座が凍結されてしまいます。このほかにも、デメリットは大きく2つあります。 (1)相続トラブルの原因になる たとえば、兄弟が何人かいて、そのうちの一人が親のキャッシュカードを預かっている場合、「自分の支払いに使っているのではないか?」と疑われることがあります。 実際には医療費や介護費を支払うために使っていても、ほかの兄弟には親のお金を独り占めしていると見えてしまい、相続の際に裁判になることもあります。 (2)キャッシュカードの再発行ができないことも キャッシュカードを紛失したり、磁気やICチップに異常があったりして、再発行しなければならないときに、銀行によっては本人でなければ手続きができなかったり、手続きに時間がかかったりすることがあります。 このように、キャッシュカードをお子さんや親族に託して、代わりに口座を管理してもらう方法は、さまざまなトラブルの原因になる可能性があるので、あまりおすすめできません。