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　「仕事相手に、思ったことや厳しいことが言えているでしょうか？」 そう語るのは、起業家・UUUM創業者である、鎌田和樹氏だ。2003年に19歳で光通信に入社。総務を経て、当時の最年少役員になる。その後、HIKAKIN氏との大きな出会いにより、29歳でUUUMを設立。「ユーチューバー」を国民的な職業に押し上げ、「個人がメディアになる」という社会を実現させる。2023年にUUUMを卒業後、初となる著書『名前のない仕事 ── UUUMで得た全知見』では、その壮絶な人生を語り、悩めるビジネスパーソンやリーダー層、学生に向けて、歯に衣着せぬアドバイスを説いている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、これからの時代の「働く意味」について問いかける。（構成/ダイヤモンド社・種岡 健） ●　友達のような、家族のような 　女性のクリエイターとランチしていたときのことです。 　彼女は、「モデルになりたいんですけど、どうすればいいですか？」ということを口にしました。そこで僕は、 　「うーん、最近かわいくないからなぁ……」 　と、思っていることを率直に言いました。 　彼女は元々、ユーチューブで「男ウケ」する動画を作っていました。 　男性ファンからは「かわいい」と言われていた。だから本人としては、「モデルとしてもやっていけるのでは？」と思ったのでしょう。 　しかし、モデルという世界は、簡単なことではありません。 「男ウケ」だけではなく、「女ウケ」も必要なのです。 　そして今度は、「10代のときからモデル一本でやってきた」というような人たちと、ガチで戦わなきゃいけなくなります。 　だから、「このままだと絶対に負けるよね？」ということを言ってあげないといけない。 　クリエイター本人は、自分のことを「客観的に見えなくなる」ときがあります。 　それは仕方のないことです。 　だから、そばで見ているバディが、率直な意見を伝える。それはときに、ショックなこともあるかもしれません。 　でも、そこでウソをついてもクリエイター本人のためになりません。 「厳しいことを伝えてあげること」は、バディとしての大切な仕事の一つなのです。 ●　「厳しいこと」を言ってるか 　ここで質問です。 　「最近、誰かに『厳しいこと』を言いましたか？」 　今は「叱られる」「厳しいことを言われる」ことが、急速に失われています。 　だからこそ、あなたにとって大事な人に、厳しいことが言えるかどうかが問われるのです。 　そうやって一人の人間として仕事をしていると、「これは仕事なのか、それともプライベートの問題なのか」という領域に入っていきます。 　たとえば、「男女間のプライベートの問題」が起こったとします。 　それによって、「動画の投稿本数が落ちました」「クリエイターとしての活動に支障が出ました」となってくることがあります。 　それは、第三者から見ると、「UUUMと専属契約しているクリエイターの問題」になります。 　だから、そこは先回りして対処しておく必要があります。 　しかも、そういう問題が起きたとき、クリエイターは会社に隠したくなるものです。 　できることなら、「問題を起こした人」として思われたくない。そういう心理が働きます。 　でも、僕らは、クリエイターに対して、「問題があったら、すみやかに教えてください」と伝えています。 　この線引きは、これからも課題として残っていくでしょうね。 　ちなみに、バディとクリエイターの間で、「最低限これだけはやる」ということもいくつかありました。 　その頃は月一回の定例会議をして、会社としての共有事項や、リスクに関することなどをクリエイターに伝達していました。 　もちろん月一回しかクリエイターに連絡しないわけではなく、何かあればすぐに仕事の連絡をします。 　そういったコミュニケーションは、ルールとして決まっているようなものではありません。 　友達や家族に「週2回は連絡しよう」と決めたりしませんよね。 　それと同じです。 　常に頭の片隅に置きつつ、何かあればすぐに動く。そういうスタンスです。 「後回しにする」ということは許されないのです。 　（本稿は、『名前のない仕事 ── UUUMで得た全知見』より一部を抜粋・編集したものです） 鎌田和樹（かまだ・かずき）　起業家、UUUM創業者 2003年、19歳で光通信に入社。総務を経て、店舗開発・運営など多岐にわたる分野で実績をあげ、当時の最年少役員になる。その後、孫泰蔵氏の薫陶を受け、起業を決意。ほどなくして、HIKAKINとの大きな出会いにより、2013年、29歳でUUUMを設立。「ユーチューバー」を国民的な職業に押し上げ、「個人がメディアになる」という社会を実現させる。2023年にUUUMを卒業。『名前のない仕事 ── UUUMで得た全知見』（ダイヤモンド社）が初の単著となる。