介護で困ったときに読んでほしい本を扱うオンライン書店員がおすすめする本3選「母の介護中、できないことが増えても解決策を見つけていた」
できないことが増えていく母とふたりで…
麻痺は利き手と逆だったので困ることはあまりないだろうと想像していましたが、「ペットボトルをつかむ手に力が入らないから、キャップを開けられない」。 なるほど、言われてみればごもっともです。介護が始まったばかりの頃は、毎日こんなことの連続でした。 つい1か月前まで当たり前のようにできていたことが、これまでと何ら変わりのない環境でできなくなる。母は自分の身体の不自由さに戸惑い、落ち込む事もありました。 ただ同時に、解決策を見つけることはとても楽しいことでもありました。何かある度に、ふたりで「どうすればできるか」話し、いろんなものを試し、工夫を繰り返しました。 私が当初「介護が始まった」というより「暮らし方が変わった」と捉えていたのは、母とのこういうやりとりをしていたからかもしれません。 そんな経験から、今回は「自宅での介護にやくだつ」内容を中心に、おすすめ本をご紹介します(その後の母親との介護エピソードは後述)。
在宅介護の生活の知恵「本当に必要なことは何か」
『いのちに寄り添う自宅介護マニュアル これから介護と向き合うあなたに』やぎひろみ著(新曜社) 足を悪くしてしまったお母さまを、約10年間、在宅で介護をしていた著者による生活の知恵が満載。食事や身の回り、トイレの介護、介助するときの体勢のとり方まで、実感を伴う文章と分かりやすいイラストで書かれています。 「つかまりやすい、寄りかかりやすい環境作り」として、家具の配置や固定の方法など、簡単に真似しやすい工夫も紹介しています。 介護と聞くとつい「手すりを設置するべき」「バリアフリーにリフォームを」など事を大きく捉えがちですが、本当に必要なことは何なのか、頭をやわらかくさせてくれる一冊です。
在宅介護を便利な道具や知恵で乗り切る工夫
『親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること』工藤広伸著(翔泳社) 工藤広伸さんは、岩手で暮らす認知症のお母さまを、東京から遠距離で介護されています。介護ポストセブンの読者さんにはお馴染みかもしれません。 実家の様子を映す見守りカメラや、室温調整に役立てているスマートリモコンなど、工藤さんが実際に使ってよかったアイテムを詳しく紹介しています。熱中症対策や火の元の安全確保など、「まだ介護とまではいかないけれど、離れて暮らす親の生活が心配」というかたにもおすすめの本です。 介護で頼れる「道具やアイデアを知っておく」ことが大切だと気づかされます。