市川團子、スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』主演!20歳ならではの熱量がアツい
2024年2月新橋演舞場『ヤマトタケル』にて、ヤマトタケルを勤める市川團子さん。冒頭の大和朝廷の儀式の場面。初日から清々しく、澄んだ雰囲気を感じられたというた團子さん。舞台度胸、満点です!!
團子 いえ、ひとまず段取りは、間違えずにできるようになりましたけれど、足りないところがたくさんあるという感じです。実際に舞台に立つと、お稽古とはまた違う難しさがあって。 小僧 それは具体的にどういうところですか? 團子 舞台では、お客さまにちゃんと感情や動きの意味が届いているかどうかが大切で、お稽古のときは、上手にやる、失敗なくやるということに意識がいきがちなんですけれど、お客さまに見ていただいて、初めて舞台が完成するんだということを改めて実感しました。 部長 自分のことを冷静に見る視点が大事ということですね。 團子 そうなんです。世阿弥の言葉で「離見の見」っていう言葉がありますよね。祖父が執筆した本の中に「離見の見」が大切だと書いてありました。自分の演技について、自分を離れて客観的な視点で見ることが大事だって。自分を斜め上から俯瞰することの大切さがよくわかりました。といっても、僕にはまだ難しいから舞台の映像を撮っていただいて、それを見て修正するようにしています。 小僧 2月は先輩の中村隼人さんとのダブルキャストでした。隼人さんからは何かアドバイスをもらいましたか? 團子 お稽古のときから、本当にたくさんアドバイスをいただきました。歌舞伎には約束ごとが色々あるんですけれど、おかしいところがあると、「ここはこうしたほうがいいよ」って、丁寧に教えてくださったり。 舞台が始まってからも「あの場面、大丈夫?」「体調はどう?」と色々気にかけてくださいました。本当に感謝しかないですね。 部長 同じ役でも演者が違うと、まったく違ってくるのが、お芝居の面白いところですね。ダブルキャストだと、余計にそれがよくわかるのでは? 團子 そうですね。同じことをやっているはずなのに、語尾の感じとか、音の調子とかタイミングが違うだけで、受ける印象がまったく違うんです。 とくに今回、音楽が録音なんですね。通常の歌舞伎は生演奏なので、演奏する方々が俳優の動きを見て合わせてくださったりするんですけれど、録音の場合、音が動かないから、こちらが音楽に合わせなければならない反面、逆にどこでどう決めるかは自分次第。そのタイミングに差が出て、すごく面白いなと思いました。 それとラストでは、倒れるタイミングや最期のセリフもまったく違っていて。僕は「あの剣があれば……」と言って息絶えるんですけれど、隼人さんのセリフは「大和へ帰りたい」。目指すところは同じなんだけれど、セリフが違うと、やっぱり空気感も変わるんです。ほかにも色々と違いがあって、隼人さんのヤマトタケルに刺激をもらいました。