欧州の政界を引っかき回すマスク氏…「私と対話を」政治家らが列作る
テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が欧州の政界を揺さぶっている。「マスク・ライン」に乗った政治家らがトランプ次期米大統領と別途に面談を持つなど、欧州の有力政治家として急浮上しながらだ。 ロイター通信とニューヨーク・タイムズなどが4日に伝えたところによると、イタリアのメローニ首相はトランプ氏とマールアラーゴ・リゾートで非公式に会談を持つ予定だ。 メローニ首相がトランプ氏と急激に近づいた背景には、トランプ氏の最側近であるマスク氏の影響力があるというのが西側メディアの見立てだ。マスク氏は2023年6月にイタリア首相官邸でメローニ首相と1時間以上にわたり会合してから公然と親密な関係を誇示してきた。昨年9月にメローニ首相が米国のあるシンクタンクから世界市民受賞者に選ばれた時は「メローニ首相は内面がはるかに美しい人」としながらマスク氏が直接授賞者として出たりもした。トランプ氏もやはりメローニ首相と先月7日にフランスのパリで初めて会った後、「私たちはとてもよく合う」として「友人の友人」に好感を見せた。 メローニ首相の位置づけはさらに大きくなっている。ドイツとフランスが国内政治の混乱でまごついている状況で唯一トランプ氏と話が通じる人物であるためだ。ニューヨーク・タイムズは「メローニ首相がマスク氏と良い関係を維持しているためトランプ氏の任期が始まればメローニ首相の国際的地位が強化されるだろう」と分析した。 ドイツの右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のアリス・ワイデル共同代表もマスク氏の風に乗って上昇中だ。AfDは過激な反移民政策で極右政党という疑惑を受けているためこれまで敬遠されてきた。しかし先月20日にマスク氏がXに「AfDだけがドイツを助けることができる」と投稿して支持の意思を明らかにすると状況が反転した。 ワイデル共同代表はマスク氏と9日夜7時にXを通じてオンライン対談をすることにし、連日Xに宣伝を投稿している。AfD関係者は独紙シュピーゲルに「マスク氏のようにクールな人物が党を支持することによって内外で党のイメージを改善できるだろう」と話した。フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)は「ワイデル氏の立場ではトランプ氏の友人であり最大の富豪である人物と同等な位置にあるということを見せる機会。マスク氏の立場でも比較的ユーザーが少ないドイツでXの広報機会になるというウィンウィンゲーム」と分析した。 親企業性向のドイツ自由民主党(FDP)のクリスチャン・リントナー代表は先月20日、Xを通じてマスク氏に「一度会って政策討論をしてみよう」と提案したりもした。リントナー代表は「AfDは自由と企業に敵対的だ。私たちが会うならばFDPがどんな政党なのか見せたい」と強調した。 しかしマスク氏の影響力が強まっているだけに欧州の既成政治家らの反発も激しい。マスク氏から「無能なばか」と批判されたドイツのショルツ首相は4日、「ソーシャルメディアにはおかしな言葉で関心を引こうとする人間が多い」とし、英語で「トロールにえさを与えるな」と書き込んではばかることなく狙い撃ちした。FDPのリントナー代表も最近では「マスク氏は、創造的企業家が政治的に正常な判断力を備えているわけではないという良い例」「米国の利益のためにドイツを弱めたがっている」として非難モードに入った。 マスク氏とメローニ首相の友情のおかげで欧州で発言権が強まったイタリアの場合も不安なのは同じだ。イタリアのマッタレッラ大統領はイタリア政治に対するマスク氏の発言が危険水位を行き来すると「主権を尊重せよ」と苦言を呈した。イタリアの政治アナリストであるフランチェスコ・ガリエッティ氏は3日、テレグラフに「トランプ氏に向かうメローニ首相の道はマスク氏を通じてだ。しかしトランプ氏とマスク氏のブロマンスが続くだろうと100%確信できるだろうか」と懐疑的な見方を示した。