「よいしょの動きが人間臭い…」転んでも立ち上がる!リング型ロボット“リングボット”の動きがすごいと話題に
スターウォーズに登場する自律ロボット「ドロイド」のように近未来的でありながら、同時にどこか人間くさい。そんな不思議なロボットが開発されている。将来的には都市部での移動の相棒になる可能性もあると期待が集まる。 【動画】スターウォーズに着想のリングボット。人間味あふれるモーションを見せる。 「リングボット(Ringbot)」と名付けられたこのロボットは、自転車のタイヤ1つ分ほどの大きさだ。外周は白のタイヤ、内周は黒のホイールとなっており、中心部は中空になっている。自転車のタイヤからスポークを取り去り、円周部分だけになったような姿だ。 自律してコロコロと転がり、プロトタイプの現時点では人間の早足ほど、時速約5kmの速度で移動する。
なぜリングだけで移動可能なのか。秘密は中空のリング内部に設けられた、折りたたみ式の2本の脚にある。それぞれの脚パーツは台座に乗っており、台座ごとフレーム内周のガイドに沿ってそれぞれ移動する。 台座がリング内を移動することで、台座と脚パーツの自重が進行方向前方にかかり、リングのバランスが変化。これによりタイヤが前へと回転するしくみだ。 台座から生えるこの脚こそ、リングボットに人間味を与えている最大の特徴でもある。バランスの維持に方向転換にと、移動の大部分をこの脚が担っている。 例えばリングを倒そうと横から力を加えると、関節付きの2本の脚を即座に展開して接地し、「よいしょ」とばかりにバランスを取り直す。万一倒れた場合には、「どっこいしょ……」とばかりに2本脚で突っ張ってリングを垂直姿勢へと立て直すことも可能だ。 走行中は両脚を水平に突き出し、空中に腕を伸ばしたような形態に。一輪車のバランスを取る子供さながら、安定するポイントを探る。
スターウォーズから着想
ロボットは米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のキネティック・インテリジェト・マシーン・ラボ(KIMLAB)が開発した。 ラボは「リングボットはエンジニアリング分野における過去の取り組み、そしてSF映画に登場するような空想上の描写にインスパイアされました」と述べ、古典SF作品とともに映画『スターウォーズ』の一幕を例示している。 スターウォーズ作中には、リング状の本体が回転し高い機動性を発揮するパーソナル・ホイール・バイク「ツメウ6」が登場する。作中では人間が乗れるほどのサイズ、対するリングボットは高さ数十センチほどとなっており、サイズこそ異なるものの、とはいえ基本コンセプトはやはりスターウォーズなどから着想したという。 米技術解説誌のインタレスティング・エンジニアリングは、「SFの世界は常に、科学者とエンジニアが協力し、昨日の不可能をいつの日か可能にする未来へと、私たちを駆り立ててきた」と回想。リングボットはあくまでプロトタイプであると紹介したうえで、SF映画同様、リングボットが人間を乗せる未来もあり得るのでは、と期待を示している。 リングボットを大型化し安全性を確保できれば、脚と干渉しない設計にしたうえで、内部に座席を設けることも可能となるかもしれない。