退屈しない自動車デザイン 大手を負かしたクリス・バングルは「先駆者」か「破壊者」か
BMW 7シリーズ(2001年)
1980年代から2000年代初頭まで、BMWのセダンは言わば「1本のソーセージ、3種類の長さ」というアプローチのデザインだった。バングルはこれを一新するべく、4代目7シリーズをまったく新しい方向性で作り上げた。そのデザインは2年前に発表されたZ9グランツーリスモ・コンセプトを踏襲したもので、特にリアエンドが特徴的だ。このリアの造形を、メディアは「バングル・バット」と呼ぶようになった。 バングルは作家のデイヴィッド・カイリーとのインタビューで、「わたし達は誰のデザイン言語も真似していませんし、わたし達自身のものでさえもありません。これを不快に思う人もいるでしょう」と語っている。
BMW Xクーペ・コンセプト(2001年)
X5をベースにしたXクーペ・コンセプトは、大きく2つの意味でBMWのデザイン史に忘れがたい足跡を残した。第一に、SUV人気のトレンドに乗り、「クーペ」の名を冠するスポーティなモデルを発表したこと。第二に、フレイム・サーフェシングをはじめとする多くのデザイン要素が、その後の市販モデルにも浸透していったことだ。 (この記事は後編『好き嫌い分かれる「大胆」デザイン BMWを変えたクリス・バングル 忘れられないクルマたち』に続きます)
執筆 AUTOCAR JAPAN編集部