いま注目されるホルモン補充療法(HRT)、「受けられないのはどんな人?」「併用してはいけない薬は?」ほか疑問に回答
Q.糖尿病の持病があっても受けられる?
◆A.血糖コントロールができていれば可能性あり 糖尿病で注意すべきは合併症。その発症を防ぐためにも、薬で血糖コントロールをすることが最優先だという。HRTを受けるには、血糖コントロールと併せて、血圧や脂質がコントロールできているかもチェックされる。狭心症や心筋梗塞など、動脈硬化性疾患にかかっていないかも調べる必要が。糖尿病未病の場合でも、HRTを受けるなら、血糖値を安定させながら行わなければいけないことを覚えておこう。
Q.子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症があっても受けられる?
◆A.かかりつけ医に相談が必要 これらの病気の進行にはエストロゲンがかかわっているため、HRTを受けることで、子宮筋腫が大きくなったり、子宮内膜症が悪化したりする危険性もあるという。 「ただし、HRTの影響は人それぞれなので一概には言えません。私自身、子宮内膜症で、エストロゲンの数値が高かったため、閉経を待ってからHRTを始めました。婦人科医に相談して進めましょう」(八田さん)
Q.HRTを始めるタイミングは?
◆A.女性ホルモン値を目安に決める ホットフラッシュや外陰部の乾燥、性交痛、うつ気分など複数の症状が気になりだしたら、始めるタイミング。 「閉経後早めがよいですね。血液検査で女性ホルモンの数値を調べることも。血中エストラジオールが低く(10~30pg/ml以下)、卵胞刺激ホルモン(30~40mlU/ml以上)が上昇していれば、不調も起きやすく、HRTの始めどきでしょう」(三羽さん) ただし、診断には医療機関によって多少の差がある。
Q.60代・70代からでも始められる?
◆A.病気のリスクが高まるのでおすすめしない 「60代や70代になってから始めると、心血管疾患や血栓症などのリスクが高まります。60才以上で更年期症状がつらい場合は、医師に相談を。エストロゲンと似た働きをするエクオール成分含有のサプリメントなども検討して」(八田さん)
Q.いつまで続けたらいい?
◆A.50代で始めれば一生続けられる 高齢からの開始はおすすめできないが、更年期から始めれば、必要に応じて一生続けられる。 「HRTには骨粗しょう症の予防や、コレステロール値の上昇を抑える効果などもあるので、一生続けても問題ありません。ただし、定期的な血液検査や、乳がん検診などは必ず受けて」(八田さん) 65才を過ぎると保険適用外になるが、年齢とともに薬の量も減るうえ、窓口負担の割合が減るので、大きな負担にはならなさそうだ。