いま注目されるホルモン補充療法(HRT)、「受けられないのはどんな人?」「併用してはいけない薬は?」ほか疑問に回答
Q.一度やめても再開できる?
◆A.中止も再開も自由だが、必ず医師に相談を 更年期の諸症状が続く期間は、人によってさまざま。短期間で終わる人がいる一方で、長い人では10年以上続く場合もある。 「HRTはいつやめても問題ないので、一度やめたいと思ったら医師に相談してみることです。やめたものの、やはりHRTをしていた方が調子がよいと実感し、再開を希望する場合も医師に相談して問題がなければ再開できます。HRT使用期間の制限はありません」(三羽さん)
Q.薬をのみ忘れたり、貼り忘れたりしたら?
◆A.1日くらいなら忘れても大丈夫 家事や仕事、介護に忙しい更年期世代。うっかり服薬を忘れることもあるだろう。 「1日なら忘れても問題ありません。気がついた時点で摂取を。数日間だと出血することがあるので、医師に相談して」(三羽さん)。
Q.HRTが受けられないのはどんな人?
◆A.乳がん、心筋梗塞、脳卒中などの経験者 HRTで乳がんのリスクは上がらないが、乳がんの治療中の人や経過観察中の人、過去にかかった人は受けられないという。狭心症や心筋梗塞、脳卒中、深部静脈血栓症などを過去に患ったことのある人も不可となる。 「経口エストロゲン製剤が、このような病気の再発リスクを高めるとされているからです。経皮エストロゲン製剤にはそのような報告はないのですが、積極的におすすめはしていません」(八田さん)
Q.治療中、出血すると聞いたけど……
◆A.不安な場合は医師に相談を HRTには「周期的併用療法」と「持続的併用療法」がある。どちらも子宮のある女性に向けた治療法で、「周期的併用療法」は、エストロゲン製剤を毎日、黄体ホルモン製剤を10~14日間併用する。 「持続的併用療法」は、エストロゲン製剤と黄体ホルモン製剤を毎日使用する。前者が出血を伴うのに対し、後者は出血が起きないとされるが、最初の数か月間は出血する可能性もある。不安な場合は療法や薬量を変えれば調整できるので医師に相談して。
Q.併用してはいけない薬は?
◆A.エストロゲンに影響を与える薬は不可 エストロゲンは体内に吸収されると肝臓内で「チトクロームP-450 3A4」という酵素によって分解されるため、酵素の働きに影響を与える薬は、血液中のエストロゲンの濃度に影響を及ぼす。その結果、HRTの効果を弱めたり、強めたりするので、併用して薬をのむ場合は医師や薬剤師に相談しよう。 エストロゲンの効果を亢進する可能性のある薬 HIVプロテアーゼ(抗HIV薬) マクロライド系抗生物質 イミダゾール系抗真菌剤 トリアゾール系真菌剤 など エストロゲンの効果を弱める可能性のある薬 リファンピシン(抗結核剤) バルビツール酸系製剤(睡眠薬、鎮静薬) カルマバゼピン(てんかん、三叉神経痛治療薬) セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート/サプリメント)含有食品 など