NHKスペシャルで特集!「東洋医学」における重要な概念<経絡>。なぜその上のツボが体の部位や内臓の症状改善につながるのか
◆重要な概念「経絡」 さて、ツボに続いて、もうひとつ重要な概念を紹介しましょう。 鍼灸において、ツボと同じくらい大切だとされるのが経絡と呼ばれる概念です。 体が持つエネルギーとされる「気」や、血液などの「血」の流れを示す道筋とされ、特定の臓器や体の部位と密接な関係があると考えられています。 具体的には経脈と絡脈の2つがあり、経脈は主要な幹線の役割を担い、絡脈は経脈をつなげる役割があるとされています。 また、経脈には十二経脈と奇経八脈があるとされ、現在も治療で使われるのは、そのうちの14本(十二経脈すべてと奇経八脈2本)です。
◆臓器とツボは「経絡」で結ばれている そして、最も重要なことは、ツボの多くは経絡上にあり、それぞれが特定の部位や臓器と結ばれているという考え方です。 例えば、手の太陰肺経(たいいんはいけい)と呼ばれる経絡は、体内では胃から始まり、大腸や肺などを経由しているとされています。さらに体表では、脇の近くにある中府(ちゅうふ)と呼ばれるツボから始まり、腕の内側にあるいくつかのツボを経由して、親指の先にある少商(しょうしょう)と呼ばれるツボで終わります(図)。 この経絡上にあるすべてのツボは、経絡でつながっている肩や腕や手の痛み、また胃や肺、大腸などの症状改善に効果があるとされているのです。 実は、西洋医学の「神経」ということばは、「神気(=精神)」と「経脈」を合わせたもので、江戸時代に『解体新書』が翻訳されたときにつくられた造語です。 ところが、この「神経」の語源となった経絡(経脈・絡脈)の存在を示す確かな証拠はまだ見つかっていません。ただ、ツボと体の部位や内臓を結ぶ経絡の考え方は、主に神経を介したネットワークによって説明できることが次第に明らかになってきています。 ※本稿は、『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』(講談社)の一部を再編集したものです。
大野智,山本高穂
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