「ポッカレモン」が何度でも“新味”を出す秘訣 70年前発売の商品がなぜいまリニューアル?
当時、ポッカレモンの消費をより拡大するために、吉川さんはポッカレモンの商品とその展開はどうあるべきかを考えた。そして、消費者や飲食店へのヒアリングを重ねながら販路拡大のアイデアを立案した。 その1つが1990年代からの100%レモン果汁調味料としての用途別提案「ポッカ100レモン〈調味料宣言〉」として社内の位置づけを変更させるリポジショニングである。1994年に発売された70ミリリットルの「食卓レモン」を唐揚げなどの揚げ物や焼肉、サラダにかけて食べるというスタイルを提案し、スーパーでも飲料の棚から調味料の棚へ移設してもらうように働きかけたのだ。
「スーパーの調味料棚は、飲料棚よりもお客様の立ち寄り率が高いと言われています。調味料棚を確保したことで売り上げを伸ばすことができました。さらに、1995年に『焼酎用レモン』(現在は「お酒にプラス レモン」)を発売しました。その頃、段階的に行われてきた規制緩和によってお酒のディスカウントショップが増えていたこともあり、よく売れましたね」(吉川さん) 各売り場でポッカレモンが売れるのは、美味しくなるだけではなく、健康にも良いというイメージを抱くからだろう。吉川さんはレモンそのものの価値を高め、伝えていく必要があると考えて、社内外の研究者とともにレモンに含まれるさまざまな成分とその効能について研究を重ねた。
■ビタミンC以外の成分に着目 そこで着目したのは、今や世の中にすっかり定着したクエン酸である。レモンに多く含まれるクエン酸に、カルシウムを溶けやすい形に変える「キレート作用」があることが2000年頃に発表され、ビタミンC以外の新しいレモンの価値が広がるきっかけとなった。2001年に発売されたのが、そう、レモン1個分の果汁が入った「キレートレモン」である。 「1990年代にブームとなったはちみつレモンのようなマイルド路線と差別化を図るべく、レモン1個分の果汁をマストとして、レモンらしさをとことん追求しました。今思えば、かなり尖った商品だったと思います。社内でも賛否は分かれましたが、今では主力ブランドまで成長しました」(吉川さん)