「ポッカレモン」が何度でも“新味”を出す秘訣 70年前発売の商品がなぜいまリニューアル?
「キレートレモン」はリニューアルを重ねて、現在はクエン酸2700ミリグラム入りの「キレートレモン クエン酸2700」のほか、一時的に自覚する顔のむくみ感を軽減するレモン由来モノグルコシルヘスペリジンが入った「キレートレモン MUKUMI」などラインナップを増やしている。 一方、ポッカレモンは2000年代に入っても売り上げは順調に推移していったものの、似たような商品やより安価なPB商品などが市場に広く流通するようになっていた。発売50周年を迎えた2007年にポッカレモン事業のブランドを「ポッカレモン100」に刷新したが、競合他社と差別化するまでには至らなかった。
「ポッカレモンはロングセラーゆえに変われないことが課題でした。2010年頃からは、食育などさまざまな活動を通じてレモンの価値を広めてきましたが、今回のリニューアルにより機能性表示食品として商品そのもので価値を訴求できるようになった」(吉川さん) ■高めの血圧を下げる効果を調査 規制緩和による、機能性表示食品制度が始まったのが2015年。当時、吉川さんはレモンのさらなる価値向上をめざすべく、異動先のサッポロホールディングスでレモンの摂取とむくみや血圧などとの関係について研究していた。
2018年に臨床試験がはじまり、その翌年に日本で初めて顔のむくみと脚のむくみ、とくに顔のむくみを低減するという機能性表示食品をめざして申請した。が、消費者庁からは、「健康の維持増進に資するのか? 有効なのか」という問い合わせがあった。 「そこで顔のむくみにどれだけ多くの人が悩み、経済損失を生んでいるのかを調査して、データにまとめて報告しました。しかし、その後も都合5回ほど問い合わせがあり、その都度対応策を実施しました。結果、丸1年かかりましたが、2020年にやっと申請が受け付けられました」(吉川さん)
そして、2年後の2022年に前出の「一時的に自覚する顔のむくみ感を軽減する」という機能性を表示した「キレートレモンMUKUMI」が発売された。 血圧については、2000年代前半にポッカレモン100のユーザーとの座談会の中で「ポッカレモン100を使っているおかげで体の調子がいい」という意見が吉川さんの心にずっと引っかかっていたことをきっかけに研究がはじまった。 「まずは2016年に恵比寿の本社と大阪の近畿本部の社員約100名を対象に、ポッカレモン100を1日30ミリリットル摂取してもらい、血圧のデータ収集を行いました。毎日社内で摂取できるように専用の冷蔵庫を用意したり、データの入力を促したりするのが大変でしたが、高めの血圧を下げる効果がありました」(吉川さん)