能登半島地震の体験と珠洲原発の恐怖 落合誓子[ノンフィクションライター/珠洲市在住]
群発地震が指し示した現実
能登半島にはここ数年(4~5年前から)小さな地震が頻発していた。前述したように、大きなものでは一昨年6月の震度5強、それに続いて昨年5月の震度6強、それに混じって「震度3」以上の地震が時々起こる。その理由が発表されていたが「流体が断層の間に流れ込む」という。 素人が聞いても何が起こっているのか即座に理解できない。火山のあるところならとてもわかりやすいが、能登半島の近辺には火山は無い。そのマグマの代わりをするのが水!? 能登半島の地下に「流体」(水)が広く存在しているという。その水が断層の間から上昇してきて地震が起こる。それらの水の供給量や上昇経路がほとんど解明されていないのだという。 ちなみにあの元日の大地震から2月末日までの2カ月間に能登半島全域で震度4以上が66回、震度5以上がなんと18回も起こっている。火山のない能登半島に頻発する異例の地殻変動と群発地震は基本的には「いまだよくわかっていない」のだ。 ちなみに、ここ4年間で震度1以上が2200回以上というから、住民は不気味な中で暮らしてきたという他はない。 この地震は「能登半島地震」と正式に名付けられたが、その影響は輪島市や能登町のみならず、能登全域の市町村に及び、その被害は石川県全体を襲い、富山湾の反対側の富山県にまで伸びている。 しかし、その震源は輪島でもなく、能登町でもなく、一番奥の珠洲。震源地はなんと2つで、その両方ともが実は珠洲市にあったのだ。 その2つの震源の場所が「寺家と高屋」である。 その名前を聞いた時、私たちは誰もが耳を疑った。その地名は珠洲に住む私たちには特別の意味を持つ。2カ所とも、なんと、あの「珠洲原発」の予定地だったところである。 珠洲市に住む住民の大半が半生をかけてその原発を追い出した。寺家地区と高屋地区。その地名は私たちは死んでも忘れない。他ならないその場所が「2カ所とも」この地震の震源域だというのである。しかも隆起……。