薬と一緒に飲んではいけない飲み物や同時服用NGの薬とは?【40代、50代・薬と上手に付き合う方法⑦】
総合感冒薬と解熱鎮痛薬を一緒に飲んではいけない!
薬と薬で併用してはいけないものはあるのだろうか? 「基本的に薬と薬の同時服用がNGなのは、同じ成分の重複、または逆の作用をするものです。 例えば、風邪の症状が出たので総合感冒薬(風邪薬)を飲み、熱を下げようと解熱鎮痛剤、鼻水が出るからと鼻炎薬などの併用です。総合感冒薬は解熱鎮痛剤、鼻炎薬、咳止めなどを合わせた薬です。これらを併用すると成分が重複して、過剰摂取になって思わぬ副作用が起こるので注意が必要です」 総合感冒薬+解熱鎮痛剤、鼻炎薬、咳止めの同時摂取は避け、総合感冒薬から個々の症状別の薬に変えるときは、4~8時間以上あけてから服用するようにするといいそうだ。 「これらの総合感冒薬、鼻炎薬、咳止めなどの中には、降圧剤と併用すると、高血圧を悪化させる可能性があるものがあります。そのひとつが噴霧式の鼻炎薬です。鼻づまりがすぐに解消して、効果が実感しやすいので使用する人も多いと思いますが、血圧が上がるという報告があるので、高血圧の人は医師や薬剤師に相談が必要です。 また、大腸菌による炎症や膀胱炎などに使われるニューキノロン系抗生剤+胸焼けを抑える胃腸薬(水酸化マグネシウムを含む)を一緒に飲んでしまうと抗生剤の効果がなくなります。抗生物質とマグネシウムイオンが結合して、小腸での吸収を阻害してしまうからです。 実は、併用してはいけない薬のリストはとても多くあり、薬剤師も常にそれらをチェックしながら処方しています。特に持病などで定期的に飲んでいる薬がある場合は、薬局やお薬手帳をひとつに絞って、プロに管理してもらうのがいいと思います。 今後、マイナンバーカードの健康保険証が普及して、これらの管理が一本化されると、こうした問題が解決されていくのかもしれません」
【教えてくれたのは】 鈴木素邦さん 薬剤師。経営学修士(MBA)。「クラヤコンサルティング」代表取締役。城西大学薬学部非常勤講師。東京大学や慶応義塾大学などの教壇に立ち、多くの薬剤師を世に送り出す。薬局薬剤師の経験、多くの薬剤師を輩出した経験をもとに、お客様第一の薬局になれるような薬局向け経営コンサルティングを行う。研修講師としても、薬局経営者向け中心に講座を実施している。著書に『薬の裏側』(総合法令出版)など。 イラスト/いいあい 取材・原文/山村浩子