【定年後・60歳からの働き方②】会社員も専業主婦も、今まで生きてきたことすべてが貴重な経験。その経験を資格が後押しして、60歳からの仕事にプラスの効果を!
企業研修等でミドルシニア世代の相談に乗るキャリアコーチャーと、人生に迷える人々の悩みを聞く「昼スナック」のママ。そんなふたつの顔を持つ「紫乃ママ」こと木下紫乃さんに「シニアの就職に役立つ資格」についてお話を伺う後編。「自分には何もウリがない…」とやや後ろ向きな人に、資格取得に向けてエールをいただいた。
「これまでの人生」×「新たに挑戦する仕事」という掛け算から生まれるプラスの効果
Q.資格を取って60歳以降も働きたいという人の中には、これまでとはまったく違うことを始めることに対する不安がある人もいますが、こういった不安に負けないためにはどうしたらいいでしょうか? 紫乃ママ:私たちの年代からもう1回勉強したり、資格を取ったりして新しい仕事に就こうとする場合、忘れてはいけないことは、すべてがゼロスタートではないということ。 新卒でその職業に就いた人とは違う、それまで積み重ねたものが何かしらはありますよね。ほかの仕事であれ、家庭での仕事であれ、私たちの年代は何かしらの経験を持っています。 そこに、新しい仕事を組み合わせることで、ずっとその仕事をしてきた人とは違う、その人ならではの持ち味を出せると思うんです。 例えば、それまで会社員をしてきて、60代で接客業に就いたとしたら、会社員時代のビジネス経験で培った営業力、トーク術などは絶対に役立つはずです。 専業主婦であれば、夫や子どもの周囲の人間関係を円滑にするために培ったコミュニケーション能力とか、家事で鍛えた効率的に仕事を回す能力とかがあるわけですよ。 人それぞれ、さまざまな経験を持っていますよね。
そういった経験がすべて「その人らしさ」として、新しい仕事にオンされていくわけです。 年齢を重ねてから、まったく違う業種へ進んだ人は、謙虚に一からスタートする気持ちで新しい世界に入っていくことは大切ですが、何も「この仕事ではまったくの新米なんで…」と必要以上に自分を卑下することはないんです。 もちろん、その業界でずっとやってきた人たちの経験値は高いとは思うけれど、異業種から入ってきた人がそこを追いかけても仕方がないでしょう? だって日付は戻せないのだから。でも、逆にその人たちにはない経験を持っているわけです。 だから「自分より10も20も若い子がこんなにできるのに、自分は新米で恥ずかしい」なんて思う必要はまったくないんです。 「自分には何も強みがない」と言う人がよくいますが、そんなことはないはず。 この年齢になるまで、何もせずに生きてきたわけではないでしょう? 何か積み重ねてきているものが必ずあります。 そういう「これまでの人生」×「新たに挑戦する仕事」という掛け算で、どういうプラスの効果が出せるのかということを考えるのはとても大事。 そこはしたたかに計算してみてもいいのではないでしょうか。 それには少し、自分を俯瞰してみるということが大事かな。 世の中はこんなふうにどんどん変化していて、働き方も多様になっています。だから「出産を機に退職してから30年間何もしてこなかった」なんて考えている暇があったら、じゃあ、次に何をしようかとか、じゃあどんなスキルを身につけたら次に進めるのか、前に進む方法を考えるとよいかも。