サウジ官民がラブコールを送る「東大阪の星」、DG TAKANOが見据える“節水ビジネス”の巨大な可能性
オラヤンはなぜ「バブル90」の価値を見抜けたか
今年2月上旬、リヤドを訪れていた高野に同行させてもらうと、サウジ市場を狙う理由が鮮明に見えてきた(この様子は、テレ東BIZのオリジナルドキュメンタリー「NEXTユニコーン」 https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/original2/vod/post_295099? utm_source=foresight&utm_medium=link&utm_campaign=unicorn でも取り上げた)。 まず訪れたのは、「コンパウンド」と呼ばれる、外国人向けの高級住宅街だ。ここで高野が向かったのは、体育館にある洗面所。よく見ると、全ての蛇口に「バブル90」が取り付けてある。 次に向かったバーガーキングでは、厨房にバブル90が付いていて、従業員は、「これまでの節水ノズルとは全然違って、汚れが落ちる」と感想を口にしていた。実は、コンパウンドもバーガーキングも、前述のオラヤングループが運営している。オラヤンは、自社が投資する施設で実証実験を繰り返しながら、バブル90を使ったDG TAKANOとの「節水ビジネス」の可能性を見極めようとしているのだ。 砂漠に囲まれたコンパウンドだが、壁の内部は緑があふれプールまで用意されている。一見、水に困っている様子は全く見られない。ただ、それは、コストのかかる水の処理システムをコンパウンド内に設置することで実現させているものだという。 「水の再処理技術も持つオラヤングループだからこそ、大幅な節水を可能にするバブル90の価値を一番先に分かってくれたのかもしれません」(高野)
食料・農業問題にもソリューションを提示
別の日、高野が訪れたのは、サウジの政府機関「Estidamah(エスティーダーマ)」(National Research and Development Center for Sustainable Agriculture)だ。ここは、その名の通り持続可能な農業を実現させるための研究機関となっている。 建物の中では、トマトやイチゴの水耕栽培が行われていた。主にオランダの技術を採り入れているという。 高野はEstidamahの研究者たちとの協議の場で、バブル90や、メリオールデザインの皿を紹介していった。ただ、それだけではなかった。サウジアラビア向けの新たな「節水システム」のプランも持ってきていた。 高野が示したのは、下図のような循環システムだ。 キッチンの蛇口にバブル90を取り付けて節水するだけでなく、皿をメリオールデザインのものに統一することで、食器用洗剤の混ざらない“クリーン”な「台所排水」が生まれる。その台所排水とディスポーザーで粉砕した食品残渣を混ぜて、バイオタンクで発酵などの処理を行うと肥料成分の含まれた水となり、それを野菜の水耕栽培などに使用すれば、循環システムが完成する。 Estidamahの研究者たちの表情は、このシステムの説明を受けると真剣さを増した。高野が、この循環システムをサウジ各地で進む新都市計画に組み込むため、すでに複数のサウジ企業と協議を進めていることを説明すると、さらに身を乗り出した。そして、すぐに次回の協議で、協業に向けた話し合いを行うことが決まったのだ。 水不足、そしてそれに伴う食料・農業問題に取り組むサウジの専門家たちに、DG TAKANOのソリューションが深く突き刺さるのを目の当たりにした瞬間だった。 高野は、このEstidamahに示した「循環システム」こそが、サウジアラビアでのビジネス展開を目指す最大の理由なのだと明かす。 「サウジアラビアでは、ビジョン2030に沿って、新たな都市建設が次々と進んでいます。DG TAKANOが提案する循環システムは、インフラそのものなので、新たな都市を一から作ろうとしているサウジアラビアにこそふさわしい。もしこの国で世界最先端の節水・循環システムを実現できれば、それがショールームとなって水不足に悩む世界各国に広がっていくはずです」