踏み台にされる日本 ビザ発給要件緩和、大喜び中国人風俗店経営者 外相の「岩屋さん、ありがとう!」出稼ぎの真の目的とは
【列島エイリアンズ】踏み台にされる日本編(1) 「岩屋さん、ありがとう!」 スマホの画面を見つめていた彼女は、突然そう言って顔をほころばせた。彼女が読んでいたのは、日本政府が、中国人向け短期滞在ビザの発給要件を緩和する方針であることを伝える中国語のニュースだった。 【写真】風俗嬢、ホスト、キャッチたちの巣窟 別名「ヤクザマンション」 彼女は、都内で違法風俗店を経営する40代の中国人だ。筆者はその日、10月に警視庁国際犯罪対策課が池袋で摘発した中国人専用風俗店に関する取材として、彼女に話を聞いていたのだ。 彼女はビザ発給要件の緩和に、岩屋毅外相の意向が働いたものと考えたようだが、思わず謝意まで口にしたのには彼女なりの切実な事情があった。 パンデミック収束以降、彼女の店には顧客は順調に戻ってきたものの、女性従業員不足にさいなまれてきた。原因は、短期滞在ビザの取得厳格化だ。 2022年10月に短期滞在ビザの申請が再開されたが、実質的には年収約1000万円以上や、ゴールド以上のクレジットカードを持っている富裕層でなければ、なかなかビザが下りなかったという。そのため、中国から出稼ぎ風俗嬢を日本に呼び寄せることが難しかったのだ。 ビザ発給要件緩和の詳細については、まだアナウンスされていないが、彼女はパンデミック以前のように庶民でも短期ビザを取得できるようになれば、人手不足も解消されて商売繁盛につながると踏んでいるようだ。 しかし、過去に例のない水準の通貨安が続く日本が、外国人労働者から見放されつつあることは、本連載でも何度もお伝えしてきたとおりだ。しかも彼女の風俗店では、サービス1回あたりの女性従業員の取り分は8000円。これは中国の売春の相場よりも安いという。 ビザ緩和要件が緩和されたからといって、彼女の見込み通り、出稼ぎ風俗嬢は日本に戻ってくるのだろうか。そんな疑問を彼女にぶつけると、こう返ってきた。 「日本に出稼ぎにくる目的はカネじゃないから」 その真の目的とは―。