F1の世界の新たなヒーロー? 各チームのSNS担当者に当たる光
F1各チームのソーシャルメディア担当者は、近年ある種のスターになりつつある。ファンは、投稿で取り上げられるF1ドライバーやチームの主要な人物だけでなく、ソーシャルメディア担当者にも注目しているのだ。 【動画】シンガポールGP決勝後、インタビューで感極まるリカルド Netflixのドキュメンタリー番組「Drive to Survive(邦題:栄光のグランプリ)」が公開されたことで、F1には新たな時代が到来した。ファンは、それまで滅多に目にすることができなかった、F1ドライバーやチームの首脳陣のプライベートを、目の前で目撃するようになったのだ。カメラはサーキットだけでなく、ドライバールームや彼らが子供の頃の寝室、ファクトリーと連日押し寄せることになった。 その後、SNSの投稿についての規制が緩和され、各チームのSNS活動が急増。ファンたちは、もっと近くでチームの一挙手一投足にアクセスできるようになった。 アストンマーティンのSNS担当であるジミー・ホーンは当初、コンテンツの本数が少なかったものの、エンゲージメントに対する需要の高さにすぐ気付いたという。2020年、彼は同チームで初めて選任のSNS管理者となり、4年後に同チームのSNSプロジェクトはグループとなった。それに伴いホーンは、アートディレクターとしてアストンマーティンのSNSを監督する立場になっている。 しかしホーンは、ファンの興味が配信担当者……つまり”中の人”に向いているとは予想していなかった。この殻を破ることは、コンテンツ制作における後押しになるだけでなく、ファンに個人的な繋がりを感じさせることにもなった。 ホーンは今では、ファンから”ジミー”の愛称で親しまれるようになった。そして彼の個人的なインスタグラムのフォロワー数も、4万人を超えている。つまり多くのファンが、コースでのホーンの動きを覗き見しようとしている。 アストンマーティンは、SNS投稿の舞台裏で何が起きているのかという、ファンの好奇心に応えた最初のチームだった。昨年のメキシコGPでは、ホーンがコンテンツをどう撮影し、編集、公開するかの過程を公開したのだ。他のF1チームもこれに追従し、急速にトレンドとなりつつある。 一方でレッドブルは、別のアプローチをとっている。レッドブルのシニア・ソーシャルマネージャーは、ルーシー・グレイが務めている。彼女は画面の外からドライバーたちに質問するという場面はあるものの、彼女の顔が映ることはない。レッドブルとしては、他のチームの真似をしているようには見せたくないのだろう。 ただグレイは、自分がまとめるチームに対しては、個性を出すことを推奨している。レッドブルのSNSアカウントは、他のチームをからかったり、Z世代のスラングを積極的に使って、F1に増え続ける若いファンたちと繋がりつつある。